第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 


紹介 第1次イラク復興支援群の活動を振り返って

 本年2月から5月までの間、第1次イラク復興支援群長として勤務した番匠1佐に復興支援群の活動について聞きました。
 
1等陸佐 番匠 幸一郎

「日本式」のイラク復興支援
イラクの国民と同じ目線で
 イラク復興の主人公はイラク国民自身であるとの認識の下、我々は、日本から来た友人として、常に相手に敬意を表し、誠実に、同じ目線で、一緒に汗を流すという「日本式」の支援を心がけました。たとえば、宿営地建設で鉄条網を構築する際も、雇用したイラク人に対して自分たちは監督するというのではなく、隊員も、戦闘服をボロボロにして、傷だらけになりながら一緒に作業を行いました。こうした「日本式」のやり方、誠意の伝え方は地域の人々に次第に浸透していったように思います。

子供達に夢と希望を!
 イラクの子供達の目は、本当に澄んでおり、キラキラと輝いていました。イラクの将来を担うのはイラクの子供達であり、この子供達に夢と希望を持ってもらおうと心がけました。5月5日には、わが国の有志からお預かりした鯉のぼりをユーフラテス川にかけました。また、イラクとわが国の国旗、そしてアラビア語・日本語の言葉がプリントされた歯ブラシを配り歯磨き指導を行ったり、宿営地近傍の小学校において隊員で構成したバンドによるミニ演奏会を開いたりして、「日本の心」を子供達にも伝えるよう心がけました。
 
日本サマーワ友好協会と協力し、ユーフラテス川に鯉のぼりを設置する隊員

政府一体となった共同作戦
 このたびの復興支援活動においては、空自の政府専用機やC-130Hによる輸送支援、海自による輸送支援、内局による各省庁などとの調整、統幕からの連絡官による情報収集など、派遣準備から活動実施に至るまで防衛庁・自衛隊が一丸となって取り組んでまいりました。さらに、サマーワ宿営地には、2人の内局職員や5人の外務省職員が一緒に活動し、たとえば、我々の医療支援に連携してODAによる医療器材の提供を行うなど、自衛隊の活動とODA支援を車の両輪とする復興支援活動を開始しました。我々復興支援群による人道復興支援の活動、外務省職員のバイタリティー溢れる活動など、政府一体となった共同作戦によって、わが国のイラク復興支援は徐々に効果を発揮し始めています。

国民(自衛官を含む)へのメッセージ
自衛隊派遣の意義を実感
 サマーワの住民が自衛隊の復興支援活動を心から歓迎し、また、イラクに派遣されている各国も自衛隊の派遣に感謝を寄せてくれていることを感じるたびに、我々が派遣されたことは意義あることだと実感しました。
 
サマーワの学校の音楽会で演奏する隊員

自衛隊の力を実感
 自衛官は、他国の軍人と比較しても、決して規律・団結・士気で引けを取ることはないと感じました。あらゆる困難に直面してもしっかりと任務を果たすことのできる隊員であると確信し、このような隊員を育ててきた自衛隊半世紀の歴史は、間違っていなかったということを実感しました。これまで、自衛隊の歴史を築いていただいた諸先輩方に深く感謝申し上げたいと思います。

継続的なご支援のお願い
 派遣された隊員にとって、国民の皆さんのご支援は、何よりの励ましであり、今も、わが国から8,000km離れたイラクの決して容易ではない環境の下、イラクの復興のために汗を流している隊員に対し、引き続き温かいご支援を賜るようお願い申し上げます。


 

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