第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 


紹介 イラク人道復興支援活動に従事する空自隊員の声

 昨年12月から本年4月にかけて、クウェートのアリ・アルサレム空軍基地に派遣された空自イラク復興支援派遣輸送航空隊の第1期隊員に聞きました。
 
操縦 3等空佐 小林 雅也 空中輸送 1等空曹 森元 啓二 警備 空士長 奥野 勝義

Q1:本任務に従事して良かった事について
 小林3佐:「危険を伴う任務の実施や日本と異なる環境下での共同生活を通じて、全員が一丸となって任務にあたり、士気と団結力をより強固なものにすることができました。航空輸送は、あまり目立たない任務ですが、国益のため、イラクの支援のために役に立つ任務を遂行することができてよかったと思います。また、クルー全員がこの任務の危険性を自覚し、不安の中での任務遂行であったにもかかわらず、訓練の成果を発揮して無事に任務を完遂できたことは大きな自信となりました。」
 森元1曹:「イラク復興支援輸空隊の立ち上げに参加することができて良かったと思います。また、日本からの人道復興関連物資をアリ・アルサレム基地からイラクのタリル基地まで空輸したことは、イラクの人達の復興に少しでも役立ったものと信じています。」
 奥野士長:「米軍やクウェート軍との交流、緊迫した状況下で武器を携帯しての歩哨勤務、各国の警備勤務の実情を間近で見聞し、肌でふれることができたことです。」

Q2:本任務で苦労したことについて
 小林3佐:「出国までの間、新しい装備の検証、戦技に関する研究や訓練の実施などにより、クウェートへ展開するまでの飛行計画などの準備を行う余裕が少なく、非常に忙しい毎日を過ごしました。実際、クウェートに滞在したのは約2か月でしたが、事前に週単位で実施した硫黄島訓練などを加えると、4か月程度派遣関連業務に没頭する状態が続き、家族への負担も大きかったと思います。また、慣れない環境で、海外派遣初心者が多い中での部隊の基盤作りは、時間と手間がかかるものだと実感しました。」
 森元1曹:「派遣前や現地において、脅威に対応するための飛行訓練、救命救急法の教育、米軍による救難・サバイバル教育、各種予防接種などを短期間に行わなければならず大変苦労しました。また、イラク領空では、空中輸送員としての通常業務のほかに、ほとんどの時間を携帯式地対空ミサイルなどの監視業務に費やさなければならないため、緊張が続き疲労が蓄積しました。」
 奥野士長:「外国語でのコミュニケーションと砂嵐による視界の悪さに苦労しました。」

Q3:派遣中のエピソードについて
 小林3佐:「帰国時、アリ・アルサレム基地司令から、一人一人丁寧に握手をしながら記念の品をいただき感激しました。今度お会いする機会があれば、日本のお土産をお渡ししたいと思っています。また、基地内は、日本の発注などによる工事があちこちで進められ、道路脇でも様々な工事がよく行われていました。現地の作業員が真剣に仕事に取り組み、予想を遙かに上回るスピードで作業を終えていたのには驚きました。」
 森元1曹:「長男から手紙をもらい、そこにはこのように書かれていました。『いつもどおり、何事も無く日本に帰ってくることを信じています。いい仕事して来いよ。苦しんでいるイラク市民を少しでも多く助けてあげられるように頑張って下さい。自分の仕事に誇りを持って一生懸命働く親父のこと、めちゃカッコイイと思う・・・いつもそう思っている。普段は恥ずかしいから、そんな事言わないけどね・・・。』今回の任務が危険と隣り合わせと言うことでこんな手紙を書いたのでしょうが、大変嬉しく励まされました。」
 奥野士長:「水平線ではなく地平線から昇る太陽と地平線へ消える太陽は神秘的でした。また、休憩時間、毎回米軍人と腕相撲をしたので、腕が少々太くなりました。ジョギング中に見かけたトカゲの走りが速いのにもびっくりしました。」


 

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