第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 


紹介 イラク人道復興支援活動に従事する陸自隊員の声

 本年2月頃から5月にかけて、サマーワ宿営地に派遣された陸自第1次イラク復興支援群の隊員に聞きました。
 
衛生隊 薬剤班長 1等陸尉 谷釜 彰子 施設隊 建設技術班長 2等陸尉 土屋 斤吾 給水隊 隊付准尉 准陸尉 門山 敏一

Q1:本任務に従事して良かった事について
 谷釜1尉:「陸上自衛隊が日本国としての自らの意志で、他国の支援に寄与した今回の任務に参加できたこと自体、非常に光栄に感じています。復興支援活動で目にしたイラクの皆さんの笑顔が私の活力源となりました。」
 土屋2尉:「2度目の海外勤務(カンボジアのPKOに参加)になりますが、今回も、復興支援という世界が注目している任務であり、イラク国民のため、日本の安全のため、微力ながら貢献していることに日々充実感を持ち職務を遂行しています。」
 門山准尉:「国民の代表として、また、陸上自衛隊の代表として日本の最も注目する歴史的任務であるイラクの復興支援に参加させて頂いたことと、今回の貴重な経験を、部隊(原隊)の同僚、後輩に伝え、部隊の精強化に寄与できることです。また、家族、特に、子供たちに父の仕事を理解させる絶好の機会ができたこともよかったと思います。」

Q2:本任務で苦労したことについて
 谷釜1尉:「私は、第2波で出国したので、短い派遣期間の中、基盤作り、2次隊への申し送りをしなければならないため、暑さと砂はもちろんのこと、時間との戦いも繰り広げています。」
 土屋2尉:「復興支援活動において現地の学校の補修工事を実施した際、2つの教室を除き電気が通っていませんでした。電気配線が壁の中にあるため、どのように、どこまで電気が来ているかが判らず、また漏電の可能性もあるため、電気配線を全部外付けに設置する羽目となってしまいました。また、天井が弱く配線を止めるクリップを打つとモルタルがボロボロと剥がれ、配線止めに苦労しました。」
 門山准尉:「警衛任務(歩哨)につくと望楼内(見張りのためのやぐら)にいる無数の虫に悩まされ、ゴーグルと防塵マスクで防御しなければなりませんでした。さらに通常の勤務においても寒暖の差が激しく(1日の温度差が30〜40℃)日中は痛いほどの日差しであり、夜間は防寒外衣を装着することになります。特にキャンプ外で行動する際は、防弾チョッキ、鉄帽を装着しての行動で非常に重く、隊員の疲労は大きいものがあります。」

Q3:派遣中のエピソードについて
 谷釜1尉:「現地に到着して感激したことは、番匠群長自らが隊員にそばをうってくださったことです。また、ラッパ手の吉川2曹による「いやしの時間(ラッパ吹奏)」は毎日の楽しみであり、心の清涼剤でした。」
 門山准尉:「洗濯物を野外で乾燥させることが多いのですが、突然の砂嵐に洗濯物はあっという間に砂だらけになってしまったりして、とても悲しい思いをした人が何人もいました。また、ある人は水を検査するためペットボトルに川の原水を入れ、ベッドの付近に保管していたところ、夜中にのどが乾いてスポーツドリンクをごくりと飲んでまた寝たそうです。そして、朝起きるとベッドの周りには原水はなく、スポーツドリンクだけが残っていたそうです。そのひとは朝から・・・だったそうです。」


 

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