第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 


解説 イラク人道復興支援で活躍する装備品

 イラクにおける任務遂行のため、防衛庁・自衛隊は多様な装備をイラクへ携行している。これらのうち浄水セット(逆浸透型)と野外手術システムについて紹介する。

1.浄水セット(逆浸透型)
 陸自は、この浄水セットを平成11年度から導入し、7セットをイラクへ携行している。
 浄水セットは、水処理装置(ろ過器など)、揚水装置(揚水ポンプ)、貯水装置(貯水タンク)、車体部(73式大型トラック(ウインチ付き))などから構成されている。
 
貯水タンク イラクにおいて浄水セットを操作中の隊員

 これらの装備品を下図のように配置し、球形式の貯水タンクと揚水・排水ポンプを除きすべて車載のまま、自動的に迅速な浄水作業を行うことができる。揚水装置により水を汲み上げ、河川や沼などの自然水(淡水)に含まれる細菌や化学物質を水処理装置でろ過した後、飲料水が供給できる。
 本装置は、東ティモールでの国際平和協力業務において使用された実績があり、イラクにおける人道復興支援活動においても十分にその役割を果たせるものと考える。また、国内における災害発生時はもとより、国連など国際機関や被災国政府からの要請に基づく国際緊急援助活動においても、いつでも迅速に対応できるような態勢を維持している。
 
浄水セット展開図

2.野外手術システム
 陸自は、この野外手術システムを昭和63年度から導入し、1セットをイラクへ携行している。
 野外手術システムは、手術に必要な4機能(手術、手術準備、滅菌、衛生補給)をシェルター化し、それらを大型トラックに搭載して機動性を持たせた動く手術室である。(ただし、イラク人道復興支援においては、シェルターのみを携行している。)
 
野外手術システムの各ユニット

 本システムは陸自後方支援連隊の衛生隊が使用し、負傷者に対して開胸、開腹、開頭術などの初期外科手術や応急治療を行うことにより、戦闘傷者の救命率の向上を図ることを目的としている。
 
手術車内部 野外手術システム全体


 

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