第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 

派遣部隊の福利厚生やメンタルヘルスケア

 派遣隊員が心身の健康を確保して任務を支障なく遂行できるようにする態勢を整えることは、非常に重要である。陸自が宿営するサマーワ周辺の治安は比較的安定しているものの、イラクの一部地域においては、米軍や一般市民などに対するテロが頻発しており、隊員は緊張の連続を強いられている。自分の手のひらが見えなくなるほどの砂嵐が発生したり、夏には気温が50℃を超えるなど自然環境も過酷である。隊員がこのような困難な勤務環境下においても勤務意欲を維持し、安んじて職務に専念し得るよう、宿営地内にトレーニングジムや家族との連絡のための部屋を備えた厚生施設などを整備している。
 また、衛星携帯電話、テレビ電話、電子メールにより、派遣隊員と家族が直接会話などができるよう連絡手段を確保するとともに、隊員及び留守家族の近況について相互にビデオレターを提供して、隊員と留守家族の絆を維持する態勢を整えている。さらに、留守業務センターなどを開設し留守家族からの各種相談に応じたり、説明会などで情報の提供を行い、留守家族が隊員不在の間に不安を抱くことのないよう、留守家族に対し親身かつ積極的な支援を実施し、隊員が安心して任務に専念できるよう配意している。
 派遣される隊員に対しては、派遣前にストレスの軽減に必要な知識を与えるため、講習を行うとともに、現地では、カウンセリング教育を受けカウンセラーに指定された隊員などが、個々の隊員の不安や悩みに適切に対応し、厳しい環境下で職務に従事する隊員の精神面のケアに十分配慮している。
 加えて、派遣部隊に医官を配置するとともに、状況に応じて本国からの専門的知識を有する医官などの派遣や帰国治療させる態勢を整えている。
 
砂嵐の中のC-130H輸送機 テレビ電話で家族と会話をする隊員


 

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