第4章 国際社会の平和と安全を確保するための取組 

基本計画の概要8など

 イラク人道復興支援特措法に基づく活動の具体的要望を調査するため、政府調査チームや自衛官を中心とした専門調査チームを現地に派遣した。その結果、イラクの多くの地域においてわが国による復興支援が期待されていることや、自衛隊が安全を確保しながら実施可能な活動の分野があることが明らかになった。このような点も踏まえ、国際社会の責任ある一員として、わが国にふさわしい活動を行っていくべきと判断し、昨年12月9日、政府は基本計画を閣議決定した。また、同月18日、防衛庁長官は実施要項を策定し、内閣総理大臣の承認を得た。
 基本計画の概要は次のとおりである。

(1)人道復興支援活動の実施に関する事項
ア 自衛隊の部隊などによる人道復興支援活動の種類と内容
 医療、給水、学校などの公共施設の復旧・整備、人道復興関連物資などの輸送9
イ 自衛隊の部隊などによる人道復興支援活動を実施する区域の範囲10
 1) 医療、給水、学校などの公共施設の復旧・整備
  ・ムサンナー県を中心としたイラク南東部
 2) 人道復興関連物資などの輸送(輸送手段)
  ・クウェートとイラク国内の飛行場施設(航空機)
  ・ムサンナー県を中心としたイラク南東部(車両)
  ・ペルシャ湾を含むインド洋(艦艇)
ウ 人道復興支援活動を外国の領域で行う自衛隊の部隊などの規模・構成・装備
 ・陸上自衛隊 人員600名以内、車両200両以内と安全確保に必要な数の拳銃、小銃、機関銃、無反動砲11、個人携帯対戦車弾12
 ・航空自衛隊 輸送機など航空機8機以内と安全確保に必要な数の拳銃など
 ・海上自衛隊 輸送艦など2隻以内、護衛艦2隻以内
エ 派遣期間 
 03(平成15)年12月15日〜04(同16)年12月14日
 
現地取材の記者に対し説明するイラク復興業務支援隊の広報官

(2)安全確保支援活動の実施に関する事項
 人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲の安全確保支援活動として、医療、輸送13、保管、通信、建設、修理、整備、補給、消毒を実施



 
8)昨年12月9日に閣議決定された基本計画の要点のみを記述。資料36参照。

 
9)実施要項において、物品の輸送に際しては、武器(弾薬を含む。)の輸送を行わないことが規定された。

 
10)この他に、経由地、通過地域などを含む。なお、実施要項で定めた自衛隊が活動を実施する区域については、部隊の安全確保や関係諸国との信頼関係の観点から、その全てを公表していないが、これらに支障のない範囲で、実施要項の概要において、1)イラク南東部ムサンナー県(サマーワ市を中心として活動)、2)バスラ、バグダッド、モースル飛行場など、3)ウム・カスル港などを公表している。

 
11)主として対戦車用で、砲尾の孔から発射時のガスを噴出させることで反動を相殺する原理を応用した火器。2人で使用し、昭和59年度から陸自に導入。

 
12)操作や携行を容易にした無反動の対戦車用弾薬。1人で使用し、平成2年度から陸自に導入。

 
13)実施要項において、物品の輸送に際しては、武器(弾薬を含む。)の輸送を行わないことが規定された。


 

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