防衛駐在官発足50年
防衛駐在官は、防衛庁から外務省に出向した自衛官であり、外務事務官として大使館などの在外公館に勤務し、主として軍事情報の収集などの任務についている。防衛駐在官は、自衛官の階級を呼称するとともに制服を着用して、派遣された国の国防関係者や各国の駐在武官との交流や情報収集を行うほか、わが国の防衛政策に対する国際的理解を深めるための活動などを行っている。
防衛駐在官制度の発足
戦後の防衛駐在官は、防衛庁・自衛隊発足と同じ50年前の54(昭和29)年、軍事情報に関する需要の増大に応えるため米国に派遣されたことに始まる。翌年には、防衛駐在官は、身分上や職務上、もっぱら外務大臣と在外公館長の指揮監督に服することや防衛庁との直接通信を行わないことなどを規定した覚書が、防衛庁と外務省の間で結ばれた。
防衛駐在官の新たな役割への対応など
近年、世界の平和と安全のため、各国が協調して安全保障上必要な行動をとることが求められるようになった。わが国も、国際平和協力法やテロ対策特措法、イラク人道復興支援特措法などに基づき、自衛隊の海外派遣を行うとともに、防衛交流や軍備管理・軍縮への協力を積極的に行ってきている。
このような情勢の中で、これらの活動に役立つ情報を収集・分析し、複雑・緊急な調整を行うことが軍事専門家としての防衛駐在官に求められるようになってきている。このため、昨年5月、55(同30)年に防衛庁と外務省の間で結ばれた覚書を48年ぶりに改定し、情報の収集・分析態勢の一層の強化を図ることとした。具体的には、「防衛庁との直接通信を行わず」といった他の在外公館勤務者に比べ防衛駐在官だけをことさら束縛しているかのような誤った印象を与えるおそれのある表現を見直すとともに、防衛駐在官による情報の収集や収集した情報共有の迅速化・確実化の重要性などを新たに規定した。また、防衛庁と外務省は、これ以外に、1)防衛駐在官の対外的呼称を「1等書記官兼防衛駐在官」ではなく、「防衛駐在官・1佐」とすることを可能とすること、2)武官団との出張のための旅費については必要性が認められるものにつき引き続き配慮すること、3)防衛情報の迅速な伝達を確実に行うことなどの各種改善について合意した。