第3章 わが国の防衛と多様な事態への対応 


解説 警察との共同図上訓練

 警察との共同図上訓練の目的は、わが国に強力な殺傷力を持つ武器を所持した武装工作員が上陸するなど、一般の警察力による治安の維持ができない事態が発生した場合に、住民の避難、武装工作員などの発見・鎮圧、重要施設の警備について自衛隊と警察が対処する際の連携要領を確認することである。このような共同図上訓練は陸上自衛隊の師団などと都道府県警察との間で、02(平成14)年11月以降、本年3月までに28道府県において実施されている。これらの訓練により、警察との相互理解が進み、様々な成果が得られた。

 具体的には、武装工作員などによる侵入の兆候を察知した場合には、速やかに緊密な連絡・調整を行うことが重要であるとの認識を共有し、1)連絡員の相互派遣、2)無線などの通信手段の確立、3)連絡会議の開催などの具体的な措置を実施する際の要領について合意を得ることができた。
 
長崎県警との間で共同図上訓練を実施している第4師団の隊員(昨年11月)

 また、自衛隊と警察では、使用する用語や地図に違いがあることが確認された。たとえば、「広報」という言葉について、防衛庁・自衛隊は、報道関係者に対する情報提供という意味で使用することが多いが、警察においては、報道関係者のみならず、住民への避難場所の連絡などを含む、より広い概念で「広報」という言葉を使用している。こうした事例を踏まえ、連絡・調整の際の意思疎通を円滑化するため、用語の相互理解や地図の共有化が不可欠であることを確認し、今後具体的な措置を講じていくこととした。

 防衛庁と警察庁は、これらの訓練の成果を十分に活用し、自衛隊と警察との一層の連携強化に努力することとしている。


 

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