第3章 わが国の防衛と多様な事態への対応 


解説 ゲリラや特殊部隊に対処するための訓練

 わが国は、高度に都市化・市街地化が進んでおり、これらの地域がゲリラや特殊部隊によって攻撃を受ければ被害が甚大となる可能性が高い。一方、陸自には、事態に対応するための訓練基盤が不足しているなどの問題がある。

 このため、陸自は、平成14年度から、市街地戦闘能力などを向上させるための訓練を効果的に実施できる米国の訓練場に部隊を派遣し、豊富な戦闘経験を有する米軍との共同訓練を行っている。昨年度は第4師団が当該訓練の計画・実施を担当し、8月下旬から9月下旬の約1か月、米国スコーフィールド・バラックス演習場(ハワイ州)などにおいて、普通科部隊の市街地戦闘訓練を行った。この訓練は前半の機能別訓練、後半の総合訓練に区分される。機能別訓練においては、市街地戦闘の基礎である市街地での前進要領・射撃要領・相互支援の要領・室内の掃討要領などについて、隊員個人の技能に関する訓練から組、班、小隊訓練などを段階的に実施した。後半の総合訓練においては、市街地における中隊の行動に関して、作戦準備、作戦地域への前進、敵の所在する市街地への突入、掃討、撃破に至る一連の流れについて訓練した。
 
市街地戦闘訓練を行う隊員(スコーフィールド・バラックス演習場)

 本訓練を通じて、実戦経験豊富な米陸軍の戦闘要領、訓練要領(特に、敵の状況や場所などを具体的に想定し、隊員に訓練を実施させる方法)、訓練評価要領を習得できた。訓練参加部隊などは、訓練成果を他の部隊へ普及させるべく努めている。また、特殊作戦にかかわる技能を修得するため、隊員を米陸軍に留学させている。
 各種訓練用施設については、平成14年度以降2個方面隊において市街地訓練場を整備中であり、本年度も、1個方面隊において着手することとしている。さらに、本年度からは、閉所(室内など)戦闘訓練用資材などを各方面隊に整備することとしている。


 

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