第2章 わが国の防衛政策 


解説 新型ヘリコプター搭載護衛艦、爆弾用精密誘導装置

新型ヘリコプター搭載護衛艦
 海自は、現在、4個護衛隊群のそれぞれに、旗艦(群司令が乗艦し指揮をとる艦)・対潜中枢艦として哨戒ヘリコプター3機を搭載する護衛艦(DDH)を1隻ずつ、計4隻を保有しているが、平成20年度に減勢が見込まれるヘリコプター搭載護衛艦(DDH)1隻(「はるな」)の代わりに、新たに1隻を整備する。

 整備にあたっては、近年の軍事科学技術の進展に加えて、新たな脅威・多様な事態にも対処可能な多目的性、滞洋性1が確保された海上作戦の中枢艦が求められていることや今後長期にわたり使用することを想定すれば、十分な性能と拡張性を持った艦が必要であることから、高い情報・指揮通信能力とヘリコプター運用・整備能力を有し、対潜能力、ステルス性、居住性などの充実を図った護衛艦を整備することとした。

 具体的には、1)護衛隊群などの指揮中枢となり、陸・海・空自衛隊を統合運用する際の司令部機能や大規模災害の際の関係機関との情報交換・調整を行う洋上対策本部としての機能、2)哨戒ヘリ(SH-60J/K)のみならず掃海・輸送ヘリ(MH-53E/MCH-101)や他自衛隊の大型ヘリ(CH-47J/JA)なども安全に発着艦ができ、かつ、効率のよい運用が可能な機能、3)遠方での長期間にわたるオペレーションに際しても自らの洋上輸送・ヘリ整備能力をもって的確に対応できる機能を付加することを予定している。
 
新型ヘリコプター搭載護衛艦(イメージ図)

爆弾用精密誘導装置
 空自は、わが国へ着上陸侵攻する部隊などに対処するため、現在、空対地攻撃機能に関しては、通常爆弾などの無誘導兵器のみを保有している。
 一方、近年の軍事科学技術の進展により、地対空兵器の能力が向上し、その脅威が増大している。この脅威に適切に対応するため、相手部隊の地対空兵器の射程外から投弾することにより、撃墜されることを回避しつつ、攻撃目標を正確に爆撃できる能力が必要である。
 また、先般のイラクに対する軍事作戦などに代表されるように、近年の戦闘においては、攻撃目標周囲の民間人や民間施設などへの付随的被害や敵地上部隊に近接する味方部隊への被害を防止しつつ、任務を効果的に達成する能力が要求されている。
 このため、平成16年度予算において、爆弾投下後、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信し、あらかじめ設定された目標に対し、正確に誘導することができる爆弾用精密誘導装置(現有の通常爆弾に付加)を整備することとした。
 
爆弾用精密誘導装置(イメージ図)


 
1)長期間にわたって洋上航行・作戦行動が可能なこと


 

前の項目に戻る     次の項目に進む