第2章 わが国の防衛政策 


解説 わが国に対する武力攻撃が発生した時点

 わが国に対する武力攻撃が発生し、自衛権発動の3要件が満たされる場合には、自衛権の発動が可能である。この場合の武力攻撃が発生した時点とは、「相手が武力攻撃に着手した時」であると考えられ、武力攻撃のおそれがあるだけでは着手と認められないが、他方で武力攻撃による現実の侵害の結果の発生を待たなければならないというものではない。
 なお、現実の事態において、どの時点で相手が武力攻撃に着手したかについては、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様など様々な事情を勘案して判断する必要があるので、一概には言えず、個別具体的に判断すべきものである。
 いずれにせよ、政府は、従来から、未だ武力攻撃が発生していないのに武力攻撃のおそれがあると推量されるだけで他国を攻撃するいわゆる先制攻撃は許されないと説明している。


 

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