第5章 国民と防衛 

6 秘密保全に対する取組

 防衛庁の取り扱う情報の中には、防衛秘密のように、漏えいすればわが国の防衛に重大かつ深刻な影響を及ぼすものがある。秘密を保全することは、国の防衛を全うし、安全を保持する上で不可欠な基盤である。
 2000(平成12)年9月の秘密漏えい事件1を踏まえ、防衛庁では、同種事案の再発防止策を検討するため、「秘密保全等対策委員会」を設置し、秘密保全に関する施策を取りまとめた2
 この委員会では、防衛庁が保有する情報を積極的に情報公開することの必要性や秘密保全に万全を期すことの重要性を深く認識し、秘密保全体制に関して必要な見直しを行い、例えば、1)関係職員の厳正な峻別(しゅんべつ)・限定、秘密区分の指定の適正化など秘密漏えい防止のための取扱環境の整備、2)各国駐在武官などとの接触要領、3)服務指導など、について隊員への徹底を図ることとした。
 また、「防衛庁情報保全委員会」を設置し、防衛庁の情報保全業務の実施に関する事項、防衛庁の情報保全業務にかかわる組織や機能の充実や強化のための各種施策に関する事項、各自衛隊の情報保全業務運営の基本に関する事項について検討を行っている。
 さらに、防衛秘密の漏えいの罰則強化を内容とした自衛隊法の改正が行われ、昨年11月に施行された。
 この改正では、守秘義務違反に罰則を設けている従来の規定とは別に、わが国の防衛上特に秘匿(ひとく)することが必要な一定の秘密(防衛秘密)を漏えいした者を、従前と比べて重い刑罰で処罰するなどの規定を設けている。
 このように、防衛庁は、秘密保全に万全を期し、国民の信頼を高め、その期待に応えるよう、全力を挙げて取り組んでいる。

 
防衛秘密

 
従来の守秘義務規定との比較



 
1)現職の海上自衛官が、在日ロシア大使館付武官に秘密文書2件を手渡した事件。そのロシア大使館付武官は、この海上自衛官が逮捕された直後、ロシアへ帰国した。また、海上自衛官は裁判の結果、懲役10か月の有罪判決を受けた。

 
2)「秘密保全体制の見直し・強化について」
http://www.jda.go.jp/j/library/archives/hozen/hozen.pdf


 

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