第4章 より安定した安全保障環境の構築への貢献 


解説 国際観艦式

国際観艦式の概要
 海自は、昨年10月、創設50周年1にあたって、多国間安全保障対話として第8回西太平洋海軍シンポジウムを、多国間共同訓練として多国間捜索救難訓練を主催し、また、国際観艦式を行った。
 国際観艦式とは、通常、国家的な節目となる記念日などに多数の外国海軍艦艇の参加を得て行われるものである。昨年10月に行った国際観艦式は、海自の創設50周年を記念して、11か国217隻の外国海軍艦艇の参加を得て、海自艦艇24隻3を合わせた41隻の艦艇で、晴天の下、東京湾で行われた。

観艦式の実施方法
 観艦式の実施方法には、停泊方式と移動方式がある。今回は、停泊方式であったが、これは、観閲を受ける艦艇(受閲艦艇)が整列して停泊している間を、観閲官を乗せた艦艇(観閲艦艇)が航行する形態で行うものである。観閲艦艇と受閲艦艇がともに航行しながら行う移動方式に比べ、狭い海域で行うことが可能であり、また、受閲艦艇を動かす必要がなく、事前の調整が比較的容易なことから、通常各国から多数の参加艦艇を募って行う国際観艦式は、停泊方式で行われるのが一般的である。
 一方、移動方式は、ある程度広い海面の確保が必要となり、参加する艦艇にも高い技量が要求されることから、事前に十分な訓練や調整を行うことが不可欠となる。3年に1度行っている自衛隊観艦式はこれにあたる。

国際観艦式の成果など
 昨年の国際観艦式は、海自発足以来、はじめて行ったものであり、多数の外国海軍との交流を通じて、信頼関係の向上を図るとともに、海自の威容を国内外に示すこととなった。観艦式に先立つ事前調整などにおいて、気象、潮流の影響、投錨方法、慣習の違いによる登舷礼式(乗組員が甲板上に整列し敬礼を行うこと)の相違点などを認識することができた。また、観艦式では、防衛施策に対する国民の理解を深めるために体験航海などを行った。
 なお、今までに、海自が参加した国際観艦式としては、1988(昭和63)年のオーストラリア建国200年記念国際観艦式、95(平成7)年のインドネシア独立50周年記念国際観艦式、96(同8)年のロシア海軍300周年記念観艦式、98(同10)年のフィリピン海軍創設100周年記念観艦式、韓国政府及び国軍創立50周年国際観艦式、00(同12)年、2000年を記念して米国で行われたニューヨーク国際観艦式、01(同13)年のインド建国50周年記念国際観艦式がある。

 
国際観艦式で観閲艦艇として航海中の護衛艦「しらね」(昨年10月 東京湾)

 
受閲中の小泉総理(昨年10月 東京湾 護衛艦「しらね」)

 
防衛庁、自衛隊に関連するものとしては初めてとなる国際観艦式を記念して発行された切手(デザイン:護衛艦「しらね」「ちょうかい」(昨年10月))



 
1)平成14年版防衛白書5章2節2〈http://jda-clearing.jda.go.jp/kunrei/w_fd/2002/column/frame/ak145008.htm〉参照。

 
2)海外からは、韓国、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、マレーシア、チリ、フランス、インド及び米国からの参加があった。

 
3)この他にも海面警戒のため、イージス艦を指揮艦とする合計22隻(小回りの利く掃海艦艇など)が参加した。


 

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