第4章 より安定した安全保障環境の構築への貢献 

5 最近における自衛隊の活動など

協力支援活動

(1)海上自衛隊の協力支援活動
 2002(平成14)年5月17日、基本計画の派遣期間の延長に続き、02(同14)年11月19日、2度目の基本計画の派遣期間の延長後も、海自は、現地での態勢を維持し、協力支援活動を引き続き行った1
 また、既に派遣している艦艇の交代時期を迎えるにあたり、内閣総理大臣の承認を得て、実施要項の変更を行い、護衛艦「きりしま」(イージス・システム搭載護衛艦(イージス艦))を02(同14)年12月16日に派遣した。「きりしま」の派遣にあたっては、指揮に当たる艦艇の今後の派遣ローテーション、補給活動での安全性の確保の必要性、隊員の居住環境の快適性などを総合的に検討した。その結果、派遣可能な護衛艦にイージス艦を含めることが適切との判断に至ったものである。
 「きりしま」は、補給活動を実施する際の安全を確保し、協力支援活動に従事する隊員の負担を軽減する上で大いに役立つこととなり、その後もイージス艦「こんごう」が、活動を行っている。
 また、02(同14)年11月の基本計画の変更後、輸送艦「しもきた」と護衛艦「いかづち」により、アフガニスタンにおいて米国の軍隊が使用する飛行場施設の維持に資するために、タイ陸軍の建設用重機などをタイからインド洋沿岸国まで輸送した。
 さらに、協力支援活動としての艦船用燃料の提供については、これまで、米英軍に限定して行ってきたが、テロとの闘いにおける作戦遂行の効率性を高める必要が増したため、2月28日にドイツ、ニュージーランド、フランス、3月11日にイタリア、オランダ、スペイン、3月28日にカナダ、ギリシャと交換公文2を締結し、新たにこれら8か国を支援対象国とし、燃料補給の対象を拡大した。
 03(同15)年5月9日、3度目の基本計画の派遣期間の延長後も、海自は、現地での態勢を維持し、協力支援活動を引き続き行っている。
 艦艇の派出状況は、艦艇派出状況表のとおりである。
 また、02(同14)年5月20日から03(同15)年5月19日までに、協力支援活動として米海軍艦艇などに行った補給回数は、延べ153回、補給量は、約17万klであった。
 なお、活動開始から本年6月末までに、協力支援活動として米海軍艦艇などへ行った補給総回数は、延べ265回、総補給量は、約31万klとなっている。

 
インド洋方面へ向け出港するイージス・システム搭載護衛艦「きりしま」(昨年12月 横須賀)

 
活動の合間に体力づくりに励む海自隊員(インド洋)

 
ドイツ艦艇に洋上補給を行う海自補給艦「はまな」(本年6月 インド洋)

(2)航空自衛隊の協力支援活動
 主にC-130H輸送機での輸送支援を継続したが、02(同14)年7月以降、在日米軍基地間の国内輸送に当たっては、従来のC-130H輸送機に加え、C-1輸送機を使用した輸送を開始し、米軍の物資等の輸送を行った。
 また、02(同14)年5月20日から03(同15)年5月19日までに、計121回の国内外への輸送を行った。
 なお、活動開始から本年6月末までに、協力支援活動として行った輸送は、国外15回、国内177回となっている。

 
C-1輸送機から輸送品を卸下する空自第3輸送航空隊(昨年7月 米軍基地)



 
1)2003年(平成15)年6月現在、海上自衛隊が保有する補給艦は、「さがみ」「とわだ」「ときわ」「はまな」の4隻。

 
2)これらの交換公文においては、わが国が支援対象国に対して行う協力支援活動が、テロ対策特措法に基づくものであることが明記されている。また、わが国が協力支援活動として提供する物品については、テロ対策特措法の目的に合致して適切に使用されるべきことを、支援対象国に対して繰り返し説明し、各国とも了解している。このことは、わが国が米国や英国との間で交換公文を締結したときと同様である。


 

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