第4章 より安定した安全保障環境の構築への貢献 

4 基本計画の変更

 国際テロ活動を取り巻く状況を踏まえ、インド洋での各国の活動は1年半以上にわたって行われており、さらにこの活動は、当面の間継続することが見込まれている。政府は、各国の活動状況などを踏まえ、わが国としての主体的な判断に基づき、3度にわたり基本計画を変更した。

 
燃料補給に際して警戒にあたる海自哨戒機SH-60J(本年2月 インド洋)

(1)第1回の変更(2002(平成14)年5月17日)
ア 変更の必要性
 残存するアル・カイダなどによってもたらされる国際テロの脅威はいまだ除去されておらず、また、テロ攻撃の脅威の除去に努める米軍などの活動は、01(同13)年のタリバーンなどへの軍事行動開始以降、依然として続いている。このようなことから、わが国としても、国際テロ根絶への取組に今後も積極的かつ主体的に寄与することが重要であり、政府は、協力支援活動、捜索救助活動を行う自衛隊の部隊などの派遣期間を延長する必要があると判断した。
イ 変更内容
 協力支援活動の実施に関する事項について、派遣期間を半年間延長し、「2001(平成13)年11月20日〜2002(平成14)年11月19日」とした。

(2)第2回の変更(2002(平成14)年11月19日)
ア 変更の必要性
 (ア)アル・カイダの主要幹部の大半については、依然として所在が不明であり、残存勢力の一部は、陸路又は海路でアフガニスタンから脱出し、各地へ拡散している。さらに02(同14)年10月のイエメン沖でのフランスのタンカー爆破事案が生起するなど、今なおテロ行為が散発している。これに対して、米軍などは、陸上作戦を海上から支援するほか、アル・カイダ、タリバーンの残存勢力が海路により逃走し、国際テロの脅威が拡散することを阻止するための活動を行っている。このような状況にかんがみ、政府は、米軍などのニーズに応じて柔軟に対応するとともに、今後も、ある程度まとまった期間、継続的に補給などを行うため、協力支援活動、捜索救助活動を行う自衛隊の部隊などの派遣期間を延長する必要があると判断した。
 (イ)政府は今後、アフガニスタンでの米軍などの活動が長期化するのに備えて、アフガニスタンにおいて米軍が使用する飛行場施設を維持するための建設用重機などを、アフガニスタンへの中継基地となるインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズに応えるためには、基本計画に海自の輸送艦と護衛艦を追加することが適当と判断した。
イ 変更内容
 (ア)協力支援活動の実施に関する事項について、派遣期間をさらに半年間延長し、「2001(平成13)年11月20日〜2003(平成15)年5月19日」とした。
 (イ)海上自衛隊の輸送艦と護衛艦(人員400名以内)を追加し、輸送艦による輸送を行うこととした。ただし、当該輸送については、1回に限ることとし、期間は、平成14年12月31日〜平成15年3月31日とした。

 
フランス海軍艦艇に洋上補給を行う海自補給艦「はまな」(インド洋)

 
海上輸送するタイの建設用重機を搭載中の海自輸送艦「しもきた」(本年2月 タイ サタヒップ)

(3)第3回の変更(2003(平成15)年5月9日)
ア 変更の必要性
 アフガニスタンにおいては、アル・カイダ、タリバーンの残党によると見られるテロ事件が頻発している。また、アル・カイダは、アフガニスタンから世界各地に拡散しており、今後もテロを計画、実施する可能性があるなど、依然として国際社会にとって深刻な脅威となっている。これに対して、米軍などは、アラビア海などにおいて、アフガニスタンにおける地上作戦を支援するとともに、アル・カイダ、タリバーンの残党の海路による逃走を阻止するための活動を継続している。このような状況にかんがみ、政府は、協力支援活動、捜索救助活動を行う自衛隊の部隊などの派遣期間を延長する必要があると判断した。
イ 変更内容
 協力支援活動の実施に関する事項について、派遣期間を11月1日(テロ対策特措法の有効期限)まで延長し、「2001(平成13)年11月20日〜2003(平成15)年11月1日」とした。

 
カナダ海軍艦艇に対する洋上給油を視察中の古庄海上幕僚長(手前) (本年6月 補給艦「はまな」艦橋 インド洋)

 

前の項目に戻る     次の項目に進む