第3章 緊急事態への対応 

原子力災害などへの対処

 1999(同11)年、茨城県東海村のウラン加工工場で発生した臨界事故の教訓を踏まえ、原子力災害対策の抜本的な強化を図るという観点から、同年、「原子力災害対策特別措置法」が制定された。
 同法では、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)が緊急事態応急対策を的確かつ迅速に行うため、防衛庁長官に対して自衛隊の支援を要請することができると規定され、これに伴って、自衛隊法が一部改正された1
 昨年11月、経済産業省が主体となって福井県で行われた第3回原子力総合防災訓練では、陸自中部方面総監部(伊丹市)や第10師団(司令部:名古屋市)、海自舞鶴地方隊(総監部:舞鶴市)などから人員約250名、車両約30両、航空機約9機、艦艇1隻が参加して、輸送支援、住民避難支援、空中と海上での放射線観測支援などに関する訓練を行い、原子力災害に際しての各省庁及び地方公共団体との連携要領などを確認した。
 また、原子力災害のみならず、その他の特殊災害に対処するため、15年度予算においても、化学防護部隊を強化することとしている。

 
14年度原子力総合防災訓練に参加中の陸自中部方面隊、海自舞鶴地方隊(昨年11月 福井県大飯町オフサイトセンター)

 
陸自の化学科部隊に装備している化学防護車(大宮駐屯地化学学校)



 
1) 1)原子力災害対策本部長の要請により、部隊などを支援のために派遣することができる。
 2)原子力災害派遣を命ぜられた自衛官が必要な権限を行使できる。
 3)原子力災害派遣についても、必要に応じ特別の部隊を臨時に編成することなどができる。
 4)原子力災害派遣を行う場合についても、即応予備自衛官に招集命令を発することができる。


 

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