第3章 緊急事態への対応 

3 災害対処への平素からの取組

地方公共団体などとの連携

 自衛隊が、災害派遣活動を迅速かつ的確に行うためには、地方公共団体などとの連携が必要不可欠であり、平素から連携強化を図っておくことが重要である。例えば、情報連絡体制の充実、両者の防災計画の整合化、地方公共団体が行う防災訓練への積極的な参加などが挙げられる。昨年度も、千葉県を主会場として行われた7都県市合同防災訓練に、陸・海・空自衛隊併せて、人員約1,020人、車両約160両、航空機45機、艦艇3隻が参加するなど、全国すべての都道府県主催の総合防災訓練に自衛隊の部隊などが支援・参加した。
 また、地方公共団体の防災業務に対し、自衛官としての経験、知識などを活用した人的協力を行うことは、地方公共団体との連携を強化する上で重要であるとの観点から、地方公共団体からの要請に応じ、防災など危機管理の分野に知見を有する退職自衛官の推薦などを行っている。
 例えば、岩手県、宮城県、広島県、岡山県などでは、退職自衛官が防災担当の幹部として採用されている。また東京都の防災担当部局に、現職自衛官を出向させている。これらは、大規模な災害時における自衛隊と地方公共団体の連携強化に大きな役割を果たしている。
 さらに、災害時に自衛隊が効果的に活動するためには、地方公共団体などと連携し、また、協力を得て、次のような措置をとり、自衛隊の活動をより有効なものとすることが重要である。

 
地方公共団体との防災訓練で消防車の輸送訓練を行っている海自輸送用エアクッション艇LCAC(本年1月 愛知県渥美半島)

(1)集結地などの確保
 災害派遣部隊は、活動拠点として使用するために、被災地近くの公園やグラウンドなどの集結地1が必要である。
 また、災害時には車両による活動が制限される可能性が高いことから、救急患者輸送、物資輸送、消火活動などの目的に応じ、被災地内又はその近くにヘリポートを設置2することが必要である。この際、ヘリコプターの円滑な活動のためには、避難場所とヘリポートを明確に区別する必要があり、平素からその場所を住民に周知しておくことが必要である。

(2)建物の番号表示
 航空機が、情報収集、人員・物資の輸送などを行う際に、空中から建物を確認しやすいように、県庁、学校など防災上重要な施設の屋上に目印となる番号を表示することは有効である。

(3)連絡調整のための施設などの確保
 自衛隊との連絡調整のための活動施設を都道府県庁内に設けることも必要である。例えば、連絡調整業務のための仮設の通信所、連絡官の待機所、車両の駐車場などが考えられる。

 
退職自衛官の地方公共団体防災関係部局における在職状況



 
1)部隊を集結させるためには、連隊で約15,000m2以上、師団などで約140,000m2以上の広さが必要。

 
2)ヘリポートの広さは、ヘリコプターの活動内容や機種によって異なるが、1機当たり50〜100m四方が基準。


 

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