災害派遣の実施状況 平成14年度
(1)救急患者の輸送
自衛隊は、従来から医療施設が不足する離島などの救急患者を、航空機で緊急輸送している。昨年度は、災害派遣総数868件のうち625件がこの急患輸送であり、南西諸島(沖縄県、鹿児島県)、五島列島(長崎県)などへの派遣が519件と多数を占めた。
その内訳は、高齢者の救急患者が最も多く、出産、水難事故に際しての緊急輸送もあった。また、他機関の航空機では航続距離不足などで対応できない場合には、本土から遠距離にある海域で航行している船舶の緊急患者の輸送も行っている。
(2)消火支援
昨年度の消火支援件数は、155件であり、急患輸送に次ぐ件数となっている。
その内訳は、近傍火災に対する派遣が最も多く、昨年度は141件であった。全国に所在する各部隊などは、周辺住民の生活の安全確保に寄与するためにも、近傍火災への対処に積極的に取り組んでいる。
また、島嶼(とうしょ)や山地など、消火が難しい場所では都道府県知事からの災害派遣要請を受け空中消火活動を行っており、例えば、昨年8月20日に香川県丸亀市の本島で発生した山林火災では、香川県知事からの災害派遣要請に対し、陸・海自衛隊は速やかに空中消火活動を行った。この派遣での空中消火における消火水の投下回数は延べ1,375回、水量3,590トンであり、25メートルプール約15杯分に及んだ。
(3)自然災害への対応
昨年度の風水雪害・震災などへの派遣件数は、9件である。昨年7月の台風6号通過の際には、岩手県知事からの災害派遣要請を受け、住民の救助、土のう積みなどに人員約580名、車両約140両、航空機6機を派遣した。