第3章 緊急事態への対応 

第2節 各種の事態への対応

 1996(平成8)年の北朝鮮座礁潜水艦乗員の韓国侵入事案、98年(同10)年の北朝鮮のミサイル発射事案、99(同11)年と01(同13)年の不審船事案、01(同13)年の米国での炭疽(たんそ)菌事案など、各種の事案が、相次いで発生した。これらは、必ずしも防衛出動に至らない場合であっても、わが国の平和と安全に重要な影響を与える事態が実際に起こり得ることを示すものであった。このような事態にいかに迅速かつ適切に対応するかは、防衛庁・自衛隊の大きな課題である。
 政府は、総理の指示に基づき、96(同8)年から、わが国に対する危機が発生した場合やそのおそれがある場合に政府がとるべき対応について、起こり得る種々のケースを想定し、必要な対応策を検討・研究するための作業を行ってきた。この検討・研究は、内閣官房が事務局となり、「在外邦人等の保護」、「大量避難民対策」、「沿岸・重要施設の警備等」、「対米協力措置(施設・区域面での協力や米軍の後方支援)等」について関係省庁が連携して行っているものである。
 また、00(同12)年に、在外邦人等の輸送や対米協力措置などを行うため、さらに01(同13)年には、不審船及び武装工作員などへの対処をより適切に行うため、自衛隊法の改正などを行った。
 こうした各種の事態への対応のあり方は、今後とも平素から検討を行っていくべき課題であるが、本節では、こうした各種の事態に対する自衛隊の対処のあり方、防衛庁・自衛隊がこれまで取り組んできている事項について説明する。

 
護衛艦上で射撃訓練を行っている海自隊員(本年2月 護衛艦「きりしま」艦上)

 

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