第3章 緊急事態への対応 

海上交通の安全確保のための作戦

 海上交通路はわが国の生命線であり、海上交通の安全確保のための作戦は、継戦能力、米軍が来援するための基盤のみならず、わが国の生存基盤を確保する観点からも重要である。
 海自は、わが国の周辺数百海里の海域において、また、航路帯1を設ける場合には概ね一千海里程度の海域において、対水上戦、対潜戦、防空戦(個別的な防空)、対機雷戦などの各種の作戦を組み合わせて、哨戒、船舶の護衛、海峡・港湾の防備などを行い、海上交通の安全を確保する。
 わが国の周辺海域で作戦を行う場合には、先に述べた周辺海域の防衛のための作戦とほぼ同様の対処となる。
 航路帯を設けて作戦を行う場合には、航路を継続的に哨戒し、敵の水上艦艇、潜水艦などによる妨害を早期に発見してこれに対処するほか、状況により、わが国の船舶を護衛する。
 海上交通路でのわが国の船舶などに対する防空は、護衛艦が行い、状況により、可能な範囲で空自の要撃戦闘機などの支援を受ける。

 なお、海上交通の安全確保のための作戦の実施に際し、米軍は、日米防衛協力のための指針の下、自衛隊が行う作戦を支援するとともに、自衛隊の能力を補完するための作戦を行う。

 
陣形を組んで船舶の護衛訓練を行っている海自護衛艦「きりしま」「はるさめ」及び補給艦「ときわ」(本年2月)



 
1)船舶を通航させるために設けられる比較的安全な海域。航路帯の海域、幅などは脅威の様相に応じて変化する。


 

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