第2章 わが国の防衛政策 


解説 P-X、C-Xの開発状況

 技術研究本部では、海上自衛隊の哨戒機(P-3C)と航空自衛隊の輸送機(C-1)の後継機として、平成13年度から次期固定翼哨戒機(P-X)と次期輸送機(C-X)の開発を行っている。

1 P-Xについて
 P-Xは、周辺海域の警戒監視・哨戒、遭難船舶の捜索などの多様な任務を行う。P-Xは、P-3Cが用途廃止により、平成20年代初めには所要機数を割り込む見込みであることから、その後継機として開発を行うものである。水上目標に対する効率的な監視と潜水艦の性能向上による探知の困難化などへの対応を図るため、飛行速度や飛行高度などの飛行性能を延伸するなどの飛行性能を向上させるほか、音響システムやレーダーシステムなどの高性能化による捜索能力などを充実させる予定である。

2 C-Xの特性について
 C-Xは、有事においては各種の作戦支援を、平時においては国際協力、災害派遣などの任務を行う。C-Xは、C-1が用途廃止により、同じく20年代初めには所要機数を割り込む見込みであることからその後継機として開発を行うものである。将来の戦術空輸所要や国際協力任務などを考慮し、飛行速度を高め、航続距離を延伸するなどの飛行性能の向上や最大搭載量、貨物室容量の充実を図る予定である。

3 両機種の開発状況と今後の予定
 両機種の開発にあたっては、民生品、民生技術の活用を最大限に図るとともに、特に、機体構造、装備品などについては一部共用化を図ることにより、開発経費や量産単価などのライフサイクルコストの抑制に努めている。
 両機種とも、平成13年度に開発に着手し、現在約500名以上の技術者が主担当企業の下で設計作業をすすめているところである。設計においては、数値流体力学を用いた空力設計や3次元電子化設計などのITを活用した新設計手法を積極的に採用している。設計の進捗にあわせて、風洞試験、構造強度試験などの各種試験を行い、そこから得られたデータを適宜設計に反映している。
 設計終了後、設計結果をベースに機体の試作を開始することとなり、両機種とも、地上で強度を確認するための強度試験用機体を2機、飛行試験を行うための飛行試験用機体を2機試作する予定である。このうち強度試験用機体を用いて地上で強度試験を行い、機体が飛行時の荷重に十分耐えられることを確認した後に、初飛行を行うこととしている。初飛行後も、継続して強度試験用機体、飛行試験用機体を用いて、P-X、C-Xについて設計で要求されている事項を満足することを確認するための試験を行う。現在のところ平成23年度に全試験を終了し、開発を完了する予定である。

 
P-Xのイメージ図

 
C-Xのイメージ図

 

前の項目に戻る     次の項目に進む