第1章 国際軍事情勢 

軍事

(1)軍事戦略の変遷
 中国は、従来、世界的規模の戦争生起の可能性があるとの情勢認識に基づいて、大規模全面戦争への対処を重視し、広大な国土と膨大な人口を利用して、ゲリラ戦を重視した「人民戦争」戦略を採用してきた1。しかし、軍の肥大化、非能率化などの弊害が生じたことに加え、世界的規模の戦争は長期にわたり生起しないとの新たな情勢認識に立って、80年代前半から領土・領海をめぐる紛争などの局地戦への対処に重点を置くようになった。このため、80年代半ば以降、大幅な人員削減や組織・機構の簡素化による編成・運用の効率化、装備の近代化や研究開発の強化などを進め、軍事力について「量」から「質」への転換を図り、近代戦に対応できる正規戦主体の態勢へ移行しつつある。このような基本方針に従い、これまで陸軍を中心とした兵員の削減2と核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした全軍の近代化が行われている。また、91(同3)年の湾岸戦争後3は、ハイテク条件下の局地戦に勝利するための軍事作戦能力の向上を図る方針4がとられている。

(2)国防政策
 中国は、国際情勢について、世界の多極化と経済のグローバル化が進展しており、平和な国際環境を長く維持することが可能と認識している。一方でテロなど、平和と発展に影響を及ぼすマイナス要因が新たに増えてきており、また覇権主義や強権政治が存在するとして、これらに反対するとしている。
 このような情勢認識の下、中国は、国の安全と近代化建設のために国防の強化が必要であるとしており、「新しい時期における積極的防御」を軍事戦略方針としている。これは、相手から攻撃されなければ自ら攻撃をすることはないが、万一攻撃を受けた時には攻勢的な反撃に出るという戦略的考え方である。
 また、国防建設と経済建設を協調して発展させる方針を堅持するとしている。さらに、核政策については、中国が少量の核兵器を保有するのはまったく自衛のためであるとし、他国が中国に核攻撃を行ったならば中国の報復的な核反撃を受けることになるとしている。なお、中国の核戦力は、中央軍事委員会が直接指揮するとしている。

(3)国防費
 中国の本年度の国防費は、本年の全人代において、1,853億元で、伸び率は9.6%増と発表された。昨年発表された伸び率(17.6%)に比べ、伸び率は抑制されているものの、依然高い水準にある5。また、全体の歳出の伸び率も抑制されており、歳出全体に占める割合はあまり変わっていない。物価上昇率との関係では、1990年代前半には中国の物価上昇率が10%を超える年があったが、近年では非常に低い物価上昇率の下、高い国防予算の伸び率を示している。また、国防予算のGDPに占める割合はここ数年徐々に増加しており、昨年度で約1.6%となっている。中国は、本年の全人代における財政報告の中で国防費増加の理由について、「国際情勢の変化に対応し、国家の安全と主権領土を保全し、中国の軍のハイテク条件下での防衛作戦能力を向上させるため」と説明して6おり、ハイテク化に対応した軍の近代化を進めるための財政的裏付けの必要性に言及している。
 国防と経済の関係については、「2002年中国の国防」白書などにおいて、前述したように「国防建設と経済建設を協調的に発展させる。」と説明されており、国防建設を経済建設と並ぶ重要課題と位置付けている。国防に対する資源配分を急激に高める可能性は大きくないと考えられる7が、これまで「国防建設は国の経済建設という大局に従う。」と位置付けてきたことと比較すれば、この変化は注目される。また、近年の国防予算の伸びはGDPの伸びを大幅に上回っており、合わせてこれまでの国防費の伸びの結果として国防費の総額も大幅に増大していることを考慮すれば、中国は今後も軍事力の近代化を推進していくものと考えられる。
 中国は、従来、国防費の内訳の詳細について公表しておらず、過去の国防白書で人員生活費、活動維持費、装備費に3分類され、それぞれの総額が公表されているのみである。また、中国が国防費として公表している額は、中国が実際に軍事目的に支出している額の一部にすぎないとみられていること8も留意する必要がある。例えば、装備購入費や研究開発費などはすべてが公表国防費に含まれているわけではないと考えられる。
 なお、中国は、95(同7)年に「中国の軍備管理・軍縮」と題する文書を発表したことに続き、98(同10)年には、初めての総合的な国防白書である「中国の国防」を発表し、さらに、00(同12)年10月に「2000年中国の国防」、昨年12月に「2002年中国の国防」を発表した。中国が、自国の安全保障についてまとまった文書を継続して発表していることは、軍事力の透明性向上に資する動きとして評価できる。しかし、例えば、主要装備の調達計画や現在の装備の保有数についての記述がないなど、依然として内容的には十分ではない点があり9、今後、中国が、国防政策や軍事力などについて一層透明性を高めていくことが望まれる。

(4)軍事力
 中国の軍事力は、人民解放軍、人民武装警察部隊10と民兵11から構成されている。人民解放軍は、陸・海・空軍と第二砲兵からなり、中国共産党が創建、指導する人民軍隊とされている。

 
中国の公表している国防費の推移

ア 核戦力・弾道ミサイル
 核戦力については、抑止力の確保、通常戦力の補完及び国際社会における発言力の確保という観点から、1950年代半ばごろから独自の開発努力が続けられており、その運搬手段としては、弾道ミサイルのほか、中距離爆撃機H-6(Tu-16)を約135機保有している。なお、中国は、96(同8)年の核実験実施以降、核実験のモラトリアム(一時休止)を行う旨発表し、同年、包括的核実験禁止条約(CTBT:Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)への署名を行っている。
 弾道ミサイルについては、現在、大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)を約20基保有するほか、新型ICBMや潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM:Submarine-Launched Ballistic Missile)などの開発も進めており、自国内で新型ICBMである東風31(CSS-9)長距離弾道ミサイルの発射実験を行っている12。また、中距離弾道ミサイルについては、わが国を含むアジア地域を射程に収めるミサイルを合計約130から150基保有しており、従来の東風3(CSS-2)から、命中精度などの性能が向上した新型の東風21(CSS-5)への転換が進みつつある。さらに、短距離弾道ミサイルについても、台湾対岸における東風15(CSS-6)13や東風11(CSS-7)の配備数の増加の動きがみられる14。また、これまで弾道ミサイルは第二砲兵に配備されていたが、01(同13)年、南京軍区に短距離弾道ミサイルを配備した「陸軍ミサイル第1旅団」が97(同9)年に新編されていたことが明らかになった。これは、地上戦における縦深打撃力の向上を図るとともに、台湾に対する武力行使の際に中心的な役割を担うとみられる南京軍区に短距離弾道ミサイルの部隊を配備することで、作戦上の機動性や即応性を高めることを狙いとしていると考えられる。
 なお、米国は、ミサイル防衛を推進し、01(同13)年12月にABM条約からの脱退を発表し、同条約は昨年6月に失効したが、中国はこの失効を遺憾であるとしている。ミサイル防衛への対抗能力につながる研究開発も行われており15、今後、中国の核・ミサイル戦力の近代化の動向に何らかの変化がみられるか注目していく必要がある。
 また、弾道ミサイルと多くの技術を共有するロケット技術について、中国は急速にその技術水準を向上させ、現在高い水準を有しており、本年中に有人飛行を行う予定とされている。
イ 陸上戦力
 陸上戦力は、総兵力160万人と規模的には世界最大であるものの、総じて火力、機動力が不足しており、1960年代に採用された旧式装備が主体となっている。85(昭和60)年以降、軍近代化の観点から、人員の削減や組織・機構の簡素化・効率化を図っているほか、従来歩兵のみで構成されていた軍(軍団)を、各兵種を統合化した集団軍16へと改編し、また、機動力、即応性を重視した快速反応部隊の編成も行われている。装備面では、新型の98式戦車が99(平成11)年の建国50周年国慶節祝賀行事における軍事パレードで確認された。
ウ 海上戦力
 海上戦力は、北海、東海、南海の3個の艦隊からなり、艦艇約740隻(うち潜水艦約70隻)約93万4,000トンを保有している。艦艇の多くは旧式かつ小型であり、主要艦艇の多くは対空ミサイルを装備していない。しかし、ヘリコプター搭載可能な新型のルーハイ級駆逐艦、ヂャンウェイII級フリゲート17及びソン級潜水艦の建造・配備や、静粛性に優れたキロ級潜水艦及び超音速対艦ミサイル(SS-N-22)を運用可能なソブレメンヌイ級駆逐艦のロシアからの導入18などの近代化が進められており、沿岸海域を防衛する海軍から、沿岸海域より遠方の近海を防衛する海軍への移行を図っていると考えられる。

 
中国軍の陸上兵力の推移

 
中国軍の海上兵力の推移

エ 航空戦力
 航空戦力は、空軍、海軍を合わせて作戦機を約2,570機保有している。旧ソ連の第1・第2世代の戦闘機をモデルにした旧式機がその主力となっており、総数は年々減少している一方、第4世代の新型機については急激に増加している。J-8II(F-8II)戦闘機やJH-7(FBC-1)戦闘爆撃機の配備を進めるとともに、J-10(F-10)戦闘機を開発中であるほか、ロシアからSu-27戦闘機などの導入・ライセンス生産19を行っており、対地攻撃能力を有するSu-30戦闘機の導入も進めている。また、空中給油や早期警戒管制といった近代的な航空戦力の運用に必要な能力の獲得に向けた努力や巡航ミサイルの開発を行っている。
 前述のとおり、中国は、近年、核・ミサイル戦力や海・空軍力の近代化を推進するとともに、海洋における活動範囲の拡大などを図っている。このように近代化の推進などを行っているが、中国側が具体的な装備の保有状況、整備ペース、部隊レベルの編成、軍の主要な運用や訓練実績、国防予算の総額や内訳の詳細などについて明らかにしていない点に問題があると考えられる。さらに、客観的に評価して、軍の近代化の目標が、中国の防衛に必要な範囲を超えるものではないのか慎重に判断されるべきであり、このような近代化の動向については今後とも注目していく必要がある。

 
中国軍の航空兵力の推移(戦闘機)

(5)軍事態勢
 中国軍は、近年、運用面においても近代化を図ることなどを目的として、陸・海・空軍間の協同演習や上陸演習などを含む大規模な演習を行っている。00(同12)年10月、中国は、最新技術を駆使し、1万人規模の兵員が参加した大規模な「科技練兵」演習を行い、01(同13)年は台湾海峡対岸において、長期間にわたり各軍が参加した「東海六号」演習を行った。また、昨年からは、新軍事訓練大綱が施行され、ハイテク条件下の局地戦に勝利することを目標とし、科学技術を主導とした訓練や、全軍の統合作戦能力強化を図った訓練を行うとしている。教育面でも、99(同11)年に創設された国防科学技術大学などを通じて、科学技術に精通した軍人の育成を目指している。
 さらに、中国は、近年、海洋における活動範囲を拡大する動きを見せており、ASEAN諸国などと領有権について争いのある南沙・西沙(せいさ)群島における活動拠点を強化している。また、法制面でも、92(同4)年にわが国固有の領土である尖閣諸島のほか、南沙・西沙群島などを中国領と明記した領海法を施行し、97(同9)年に領土、領海、領空の安全の防衛と並んで海洋権益の擁護を明記した国防法を制定するなどの整備を行っている。なお、南シナ海における問題については、昨年11月に中国とASEANとの間で「南シナ海における関係国の行動に関する宣言」が採択された。
 わが国の近海においては、主としてわが国の排他的経済水域において、近年、中国の海洋調査船により、海洋調査とみられる活動が行われている。この問題については、01(同13)年2月、日中双方が東シナ海における相手国近海(領海を除く。)で行う海洋の科学的調査活動に関し、「海洋調査活動の相互事前通報の枠組み」が成立した。しかし、その後、同枠組に基づく通報がない、または通報と異なる中国の海洋調査船による活動が見られる。この問題については、昨年9月及び本年6月の日中外相会談並びに昨年11月の海洋法に関する日中協議などにおいて、本枠組に合致しない中国の海洋調査船の動きについて中国側の枠組遵守を強く求め、中国側よりは、中国は本枠組を重視しており、引き続き堅持したい旨の説明がなされた。
 また、近年、わが国の近海における中国の海軍艦艇の航行も行われている。何らかの訓練と思われる活動20や情報収集活動、海洋調査活動21を行っていると考えられる海軍艦艇が視認されており、昨年7月にはヤンライ級の測量艦「東測226」が福江島西南西の海上で停止し、観測機材を投入して海洋観測らしき作業を実施しているのが確認され、同9月には、ミサイル観測支援艦兼情報収集艦「東調232」が沖縄本島の東岸から西岸沖を時計回りに周回したのが確認された。また、11月にはハイシン級哨戒艇2隻が奄美大島西北西を航行したのが確認されている。
 さらに、近年、中国海軍艦艇による遠洋航海が活発になっている。中国海軍艦艇の外国派遣は85(昭和60)年から行われており、当初は近隣諸国が中心だったが、97(平成9)年に初めて太平洋を横断し、北米、南米大陸、98(同10)年に大洋州、00(同12)年にアフリカ大陸と、遠方の地域に派遣されるようになった。昨年は、海軍艦艇2隻が約4か月かけ、総航程約3万海里を航海する、中国海軍にとって初めての世界一周航海を行っている。
 中国海軍の活動の活発化については、将来的には、いわゆる「外洋海軍」22を目指しているとの指摘もあることから、どのような海軍戦略に基づいて活動を活発化させているのかという観点からその動向に注目していく必要がある。

 
わが国周辺で活動する中国海軍のミサイル観測支援艦兼情報収集艦「東調232」(昨年9月 沖縄周辺)

 
中国軍の配置



 
1)毛沢東が確立した軍事戦略であり、劣勢の人民軍が優勢な敵の正規軍に勝利するための戦略である。具体的には、広大な国土を利用して敵を自己の領域内に誘い込み、膨大な人口を利用して敵を包囲し、持久戦に持ち込みゲリラ戦などにより敵の消耗を図った上で、自己の戦力が優勢となれば攻勢に移り、敵の殲滅を図るものである。

 
2)1980年代後半には、100万人の兵員の削減が行われ、1997(平成9)年から00(同12)年にかけてはさらに50万人の削減が行われた。

 
3)アフガニスタンにおける軍事作戦や米国などによるイラクに対する軍事作戦などを踏まえた世界の軍事変革の分析も行われている。

 
4)戦術・訓練面においてもハイテク条件下における局地戦対処に重点が置かれており、かつては「三打三防」(戦車、飛行機、空挺部隊に対する攻撃と、核、化学、生物の各兵器からの防御)という作戦方針が確立され、訓練が行われていたが、1999(平成11)年には新「三打三防」として、ステルス、巡航ミサイル、武装ヘリに対する攻撃と、電子妨害、精密兵器誘導、偵察監視活動からの防御が示され、科学技術を取り入れた訓練である「科技練兵」が重視されている。

 
5)発表された伸び率は執行実績額からのものと考えられ、当初予算比で考えると15年連続で10%以上の伸びとなる。

 
6)昨年3月の第8回日中安保対話において、中国側は、国防予算の増加について、中国の国防予算は、現役兵のみならず民兵、予備役、退職軍人、軍人子女も対象としており、商業活動を禁止したことに伴う補償や一般人民の生活向上に伴い軍関係者の収入増加を行う必要があると説明した。

 
7)中国の積極財政政策により、本年度の国家予算に占める国防予算の割合は約7.8%とここ数年徐々に低下している。

 
8)米国防省「中華人民共和国の軍事力」報告書(2002.7)では、実際の国防費の総額は650億ドルに近く、2020(平成32)年までには現在の3〜4倍まで増加する可能性があるとされている。

 
9)昨年3月の第8回日中安保対話において、日本側からのこのような指摘に対し、中国側は、これまで国防政策の透明性につき重視してきており、これからも重視し、今後も自主判断に基づき透明性を向上していきたい旨の発言があった。

 
10)党・政府機関や国境地域の警備、治安維持のほか、民政協力事業や消防などの任務を負う。「2002年中国の国防」では、「国の安全と社会の安定を維持し、戦時は人民解放軍の防衛作戦に協力する。」とされる。

 
11)平時においては経済建設などに従事するが、有事には戦時後方支援任務を負う。「2002年中国の国防」では、「軍事機関の指揮の下で、戦時は常備軍との合同作戦、独自作戦、常備軍の作戦に対する後方勤務保障提供及び兵員補充などの任務を担い、平時は戦備勤務、災害救助、社会秩序維持などの任務を担当する。」とされる。

 
12)米国国家情報会議「2015年までの海外におけるミサイル開発及び弾道ミサイル脅威」報告書(2002.1)は、中国は2005(平成17)年までに東風31を配備可能であり、主として米国に対して配備される中国の弾道ミサイルは、15(同27)年には弾頭数で約75から100発になると予測している。

 
13)東風15は、1996(平成8)年3月の台湾「総統」選挙の前後に中国が台湾対岸から台湾付近の海域に向けて発射した短距離弾道ミサイルである。

 
14)ブレア米太平洋軍司令官(当時)は、2001(平成13)年3月、中国が既に台湾が射程に入るミサイルを300基配備、年に50基ずつ増強しているとみられると語ったと伝えられている。また、米国国家情報会議「2015年までの海外におけるミサイル開発及び弾道ミサイル脅威」報告書(2002.1)によれば、中国は短距離弾道ミサイル戦力の増強を続けており、05(同17)年には数百基になると予測している。

 
15)本年2月25日付けの科技日報は、弾道ミサイルのMaRV化と思われる研究を行った研究員を紹介している。

 
16)歩兵、砲兵、装甲兵など各兵種が協同して作戦を遂行する正規戦に対応すべく、これらの兵種を統合化したもの。

 
17)水上戦闘艦艇の艦種の一つ。

 
18)昨年、中国がロシアとの間で新たに2隻のソブレメンヌイ級駆逐艦導入の契約を締結したという報道がみられた。また、海軍用のSu-30についても契約が締結されたという報道があった。

 
19)中国は、1998(平成10)年よりSu-27戦闘機のライセンス生産を行っているが、本格的な国産化にはなお時間を要するとみられている。

 
20)東シナ海において複数の海軍艦艇が陣形運動を取った例もあり、1999(平成11)年5月には尖閣諸島の近海で初めて13隻という規模で航行したことが確認され同年7月には10隻の航行が確認された。00(同12)年3月には奄美諸島北西の海上で5隻、4月には沖縄本島北西の海上で4隻、6月には五島列島南西の海上で3隻の航行が確認された。01(同13)年2月には沖縄本島北北西の海上で、初めて揚陸艦4隻を含む6隻の航行が確認された。

 
21)2000(平成12)年5月には、海軍の砕氷艦兼情報収集艦「海氷723」がわが国を周回、対馬海峡及び津軽海峡では反復行動を行い、航行中に機器を海中に投入し、アンテナを回転させるなどしており、同年7月にはミサイル観測支援艦兼情報収集艦「東調232」が浜松沖から対馬沖を航行、紀伊半島沖を航行中にアンテナを回転させたり反復行動を行っていた。また海軍の活動の際に必要な基礎的データ蓄積のための調査・情報収集活動を行っていた可能性が高いと思われる艦艇も確認されている。

 
22)ブルー・ウォーター・ネイビーとも言われている。その定義は必ずしも明確なものがあるわけではないが、例えば、中国海軍との関係では、沿岸から1,500カイリ以上の遠方海域(黄海、東シナ海、南シナ海を含む。)における事象を統制可能な能力を有する海軍を指すとの見方もある。


 

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