第1章 国際軍事情勢 

3 中国

 中国は、14もの国と接する長い国境線と太平洋に面する長い海岸線に囲まれた広大な国土に世界最大の人口を有する国家である。また、国内に多くの異なる民族、宗教、言語などを抱える国である。少数民族の多くは国境地域に居住しており、国境外に同胞民族が居住していることも多い。また、長い歴史を有し、固有の文化、文明を形成、維持してきている。この中国特有の歴史に対する誇りと19世紀以降の半植民地化の経験が、中国国民の国力強化への強い願いとナショナリズムを生んでいる。また、中国は、社会主義体制をとる国家であり、中国共産党による指導の下、社会主義近代国家の建設を目指し1ている。特に、改革・開放以降、1992(平成4)年10月の第14回党大会において「社会主義市場経済」のメカニズム導入も決定され、中国は政治、経済的にも地域の大国として着実に成長し続けており、軍事に関しても、地域の各国がその動向に注目する存在となっている。



 
1)国家の根本的任務は、中国の特色ある社会主義を建設する道に沿って、全力を挙げて社会主義近代化建設を進めることである、と憲法(前文)に規定している。


 

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