第1章 国際軍事情勢 

4 複雑で多様な地域紛争

 地域紛争の性格は必ずしも一様ではない。それぞれが民族、宗教、領土、資源など固有の問題に起因し、その態様も武力紛争のみならず軍事的対峙(たいじ)の継続まで様々である。
 冷戦終結以前より、中東、インド・パキスタン、朝鮮半島など、現在まで長期間にわたって軍事的対峙などが継続している地域もある。冷戦終結後も、国家間の武力紛争は依然として発生している。イラクのクウェート侵攻や、エチオピア・エリトリア間の国境紛争がその例である。一方、民族や宗教、資源などに起因する内戦も数多く起こっており、それに伴い発生した人権侵害、難民、飢餓、貧困、テロなどが国境を越えて広がり、国際問題化する場合なども見られる。

 

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