〔第2節〕日米安全保障体制


    激動する国際社会の中にあって、我が国は、戦後半世紀以上にわたり平和と繁栄を享受してきたが、これは、我が国自身の防衛努力とあいまって、日米安保体制が抑止の体制として一貫して有効に機能してきたことが大きな要素であることは否定できない。
    我が国は、引き続きこの日米安保体制の信頼性の向上を図り、その円滑な運用のため努力していくことが重要である。

日米安全保障体制の意義

(1) 我が国の安全の確保
    我が国への武力攻撃があった場合、日米両国は、日米安保条約により共同対処を行うこととなっている。この米国の日本防衛義務により、我が国への武力攻撃は、自衛隊のみならず米国の有する強大な軍事力とも直接対決することとなり、相手国は侵略を躊躇せざるを得ず、結果として侵略は未然に防止される。

(2) 我が国周辺地域の平和と安定の確保
    日米安保条約を基調とする日米両国の緊密な協力関係や米軍の駐留は、米国と地域社会との間で構築された同盟・友好関係とあいまって、我が国周辺地域における平和と安定を確保するために重要な役割を果たしている。

(3) より安定した安全保障環境の構築
    日米安保体制を基調とする日米両国の協力と協調は、安定化のための努力が重視されている冷戦終結後の国際社会において、より安定した安全保障環境を構築するために重要な役割を果たすものである。

日米安保対話と安全保障に関する日米共同宣言

    我が国の防衛を取り巻く環境の変化を受けて、冷戦終結後における日米安保体制の意義などについて、日米両国で関心が高まった。日米両国は、一昨年秋以来、日米安保体制の信頼性の向上を図りこれを有効に機能させるための不断の努力の一環として、今日における日米安保体制の意義やこの効果的な機能発揮のための協力についてさまざまな対話を集中的に実施した。
    そして、本年4月の橋本総理とクリントン大統領との日米首脳会談後の共同記者会見において、「日米両国民へのメッセージ」と「日米安全保障共同宣言」が合意され発表された。前者は、両国が共有する民主主義や自由などの価値の重要性を指摘し、このような価値に基づく幅広い日米協力関係について述べたものであり、また、後者の共同宣言は、安全保障について日米間で緊密に行われた対話の成果を踏まえ、日米安保体制の重要な役割を改めて確認し、21世紀に向けた日米同盟の在り方を内外に宣明するものである。

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