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資料21 中東・アフリカ地域における在外邦人等の安全確保等に関する政府の取組について

令和5年12月22日
閣議決定

中東・アフリカ地域において政治・治安情勢の不安定化が見られる中、政府としては、これらの地域の情勢の安定化に向けた更なる外交努力を進めるとともに、情勢が急速に変化した際には、在外公館等を通じた情報収集を行い、在外邦人等の安全の確保及び状況に応じた在外邦人等の退避に全力を挙げてきている。

その上で、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第84条の3に規定する在外邦人等の保護措置及び同法第84条の4に規定する在外邦人等の輸送(以下「在外邦人等の保護・輸送」という。)をより迅速かつ適切に実施するためには、在外公館等による情報収集に加え、自衛隊が態勢の整備を行うことが不可欠である。この点、ジブチ共和国は、中東・アフリカ地域において在外邦人等の保護・輸送が必要となった際に、従来よりも迅速な対応を行う拠点となることができる位置にある。こうした考えの下、「国家安全保障戦略」(令和4年12月16日閣議決定)においては、「ジブチ政府の理解を得つつ、在外邦人等の保護に当たっても、海賊対処のために運営されているジブチにある自衛隊の活動拠点を活用していく」とされた。その後も、令和5年4月には、ジブチ共和国の自衛隊の活動拠点を活用し、在スーダン邦人等輸送を実施したことなどを踏まえれば、今後も、中東・アフリカ地域において、在外邦人等の保護・輸送の必要性が生じる可能性は排除されない。こうしたことを踏まえ、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号。以下「海賊対処法」という。)に基づき活動する自衛隊の部隊等を活用し、下記のとおり実施することとする。

1 中東・アフリカ地域においては、紛争や政変、自然災害等の発生により、在外邦人等の保護・輸送の必要性が生じる可能性があるところ、政府として在外邦人等の保護・輸送の実施に万全を期すため、海賊対処法に基づき活動する自衛隊の部隊が使用するジブチ共和国における活動拠点(以下「ジブチ拠点」という。)において、在外邦人等の保護・輸送の可能性を見据えた臨時の態勢の整備として、ジブチ共和国政府の理解を得つつ、装備品等の集積・管理、防衛協力・交流の強化及び情報収集・分析の強化を行わせるとともに、教育訓練を実施させる。

2 この自衛隊による活動は、中東・アフリカ地域の情勢を踏まえ、在外邦人等の保護・輸送に関し、発令時の円滑な部隊運用に必要なものであり、装備品等の集積・管理も含むことから、防衛省設置法(昭和29年法律第164号)第4条第1項第9号、第13号、第18号及び第33号の規定に基づき、海賊対処法第7条第1項の規定により海賊行為に対処するために必要な業務を行う部隊等を活用して実施するものとし、細部については、防衛大臣の定めるものとする。

3 なお、中東・アフリカ地域の情勢を踏まえ、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成4年法律第79号)に基づく人道的な国際救援活動等のために国際平和協力業務を実施する等の必要性が生じた場合には、ジブチ共和国政府の理解を得て、必要に応じ、ジブチ拠点を活用することとする。