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資料19 自衛隊による在外邦人等の輸送の実施について

令和4年4月22日
閣議決定

防衛省設置法等の一部を改正する法律(令和4年法律第26号)の施行に伴い、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第84条の4に基づく、在外邦人等の輸送については、下記の方針に従って実施されるものとし、「自衛隊による在外邦人等の輸送の実施について」(平成25年11月29日閣議決定)は、廃止する。

1 政府としては、緊急時における在外邦人等の保護について、令和3年8月に実施した在アフガニスタン邦人等輸送の経験等を踏まえ、急速な情勢変化に備えた政府部内の連携の強化、我が国と同様の輸送を行っている各国との連携の強化、自衛隊法第84条の4第1項に規定する邦人及び同項に規定する外国人についての在外公館による平素からの把握、自衛隊による態勢の強化等、在外邦人等の輸送に係る総合的な措置の一層の充実を図るものとする。

2 今後の在外邦人等の輸送の実施に備え、平素から、輸送拠点や輸送経路の使用可能性等について、情報収集に努めるものとする。

3 緊急事態における輸送機の有用性を勘案し、在外邦人等の輸送において政府専用機の使用を原則とする規定が廃止されたことを踏まえ、輸送のために使用することが想定される航空機、船舶又は車両(以下「使用航空機等」という。)の特性を踏まえた効果的な輸送要領につき、平素から検討するとともに、緊急事態に際しては、最適な輸送手段を一層柔軟に選択し、迅速な派遣に努めるものとする。

4 従来、在外邦人等の輸送は、防衛大臣が当該輸送を安全に実施することができると認めるときに実施してきており、具体的には、輸送において予想される危険に応じ、例えば、当事国又は第三国の管制・保安による飛行場の機能の維持、当事国又は第三国の警備による飛行場内外における群衆の統制、我が国の情報収集や関係国との調整を踏まえた輸送方法の選択(チャフ、フレア、防弾板等の自己防護装置の使用を含む。)等の方策を講じた上で輸送を実施してきた。

自衛隊法第84条の4第1項において、在外邦人等の輸送の実施に当たり、輸送において予想される危険を避けるための方策を講ずることが規定されていることを踏まえ、今後も、在外邦人等の輸送の実施に当たって、その安全はこれまでどおり確保するものとする。

5 在外邦人等の輸送を実施する可能性があり、当該在外邦人等の輸送を実施することとした後に本邦から出発したのでは在外邦人等の輸送の任務を適時に実施し得ない可能性があると認められる場合には、防衛大臣は、外務大臣からの依頼に基づき、当該在外邦人等の輸送の準備行為として、使用航空機等を国外に移動させ、在外邦人等の輸送のための待機を行わせるものとし、当該移動・待機について一層迅速な意思決定に努めるものとする。

6 在外邦人等の輸送を実施する自衛官が携行する武器は、現地の輸送拠点、輸送経路、輸送の実施に必要な業務の内容その他の諸条件に照らし、及び自衛隊法の関連規定の範囲内で、必要かつ適切なものとする。

7 自衛隊法第84条の4第1項に規定する邦人及び同項に規定する外国人については、在外公館において平素からの把握に努めるとともに、輸送の実施に当たっては、関係省庁が連携して現地における人定、出入国手続、我が国への入国後の処遇の検討等を行うものとする。なお、同項に規定する外国人の同乗については、人道的見地から邦人と同じような状況の下で退避が必要とされ、当該外国人の属する国の政府から我が国に対して、当該外国人の輸送につき要請があることを原則とする。