3 カシミール地方の帰属をめぐるインドとパキスタンとの対立
インドとパキスタンは、カシミールの帰属をめぐり主張が対立しており5、過去に三度の大規模な武力紛争が発生した。カシミール問題は、両国の長年にわたる懸念事項であり、カシミール地方では両国間で管理ラインを挟んで衝突がたびたび発生していることもあり、両国は対話の再開と中断を繰り返しているが、2021年2月、両国は、管理ラインにおいて同月24日深夜より停戦を遵守することで合意したとの共同声明を公表している。
参照図表I-3-8-1(インド・パキスタンの兵力状況(概数))

5 カシミールの帰属については、インドが、パキスタン独立時のカシミール藩王のインドへの帰属文書を根拠にインドへの帰属を主張し、1972年のシムラ協定(インド北部のシムラにおいて実施された首脳会談を経て紛争の平和的解決や軍の撤退について合意されたもの)を根拠に二国間交渉を通じて解決すべきとしているのに対し、パキスタンは1948年の国連決議を根拠に住民投票の実施により決すべきとし、その解決に対する基本的な立場が大きく異なっている。