刊行に寄せて
平成25年版防衛白書の刊行に寄せて
防衛大臣 小野寺 五典
国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜く

わが国を取り巻く安全保障環境には様々な課題や不安定要因が存在しており、その一部は、顕在化・先鋭化・深刻化しています。
北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射や核実験の実施を含む挑発行為、中国による領海侵入や領空侵犯を含む周辺海空域での活動の急速な拡大・活発化など、わが国周辺の安全保障環境は一層厳しさを増しています。
こうした中、国民の生命・財産とわが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、政府は、実質11年ぶりに防衛関係費を増額し防衛体制の強化に取り組むとともに、本年中に防衛計画の大綱を見直すため、精力的に検討を重ねています。
現場では、陸・海・空各自衛隊の部隊が、南西地域をはじめ周辺海空域の警戒監視に24時間態勢で対応するとともに、北朝鮮の弾道ミサイルへの対処や災害派遣活動にあたっています。
本年1月の在アルジェリア邦人に対するテロ事件にあたっては、初めて在外邦人輸送のため政府専用機を現地へ派遣しました。
また、わが国の安全、さらにはアジア・太平洋地域の安定を確保する上で重要な役割を果たしている日米同盟を強化するため、ヘーゲル米国防長官と会談し、「日米防衛協力のための指針」の見直しを含め、日米防衛協力の強化に取り組んでいます。同時に、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄をはじめとする地元の負担を軽減するため、普天間飛行場の移設や嘉手納以南の土地の返還を含む米軍再編計画についても着実に進めています。
さらに、地域の平和と安定のため、米国のみならず関係諸国との防衛協力・交流を積極的に進めるとともに、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動や南スーダンにおける国連PKOへの派遣などを行っています。
こうした取組に加え、防衛生産・技術基盤を維持・強化していくことも重要です。その一環として本年3月、次期戦闘機F-35製造への国内企業の参画について、武器輸出三原則等の例外化措置をとりました。
本年の防衛白書においては、このようなわが国を防衛するための広範多岐にわたる取組を、コラムや図表を充実させながら、記述しています。
わが国の防衛は、国民の皆様の御理解と御協力なしには成り立ちません。この白書が一人でも多くの方の手に取っていただけることを心から願っています。

 
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