コラム

<解説>ロンドンオリンピック成果報告・ソチオリンピックに向けた取組

ロンドンオリンピックの成果報告

昨年開催されたロンドンオリンピック競技大会において、自衛隊体育学校(東京都練馬区)から12人の隊員が、日本代表選手として参加した。その結果、小原日登美1等陸尉(レスリング・女子48kg級)、米満達弘3等陸尉(レスリング・フリー66kg級)が金メダル、湯元進一2等陸尉(レスリング・フリー55kg級)、清水聡3等陸尉(ボクシング・バンタム級)が銅メダルを獲得、高桑健2等海尉(水泳・200m個人メドレー)が6位入賞の成果を収めた。特に、大きな挫折を乗り越え涙の金メダルを獲得した小原1等陸尉は日本全国に感動を巻き起こすとともに、米満3等陸尉の金メダルは日本選手団としてオリンピック史上最高となった日本代表38個目のメダルであり、また、日本としても通算400個目に当たる記念すべきものとなった。
このように、ロンドンオリンピック競技大会では、自衛隊体育学校から参加した隊員の活躍が一際目立ったものとなり、日本国民に対しても勇気と感動を与えた。その結果、自衛隊体育学校は、日本オリンピック委員会から選手を支える団体に対して贈られる最高の賞「トップアスリートサポート賞2012年度最優秀団体賞」を受賞した。
さらに、自衛隊体育学校のメダリストたちは、競技以外にも東日本大震災で大きな被害を受けた被災地を訪問するなど、社会貢献活動を行うとともに、東京オリンピック・パラリンピック招致活動についても積極的に協力を行っている。

表彰式で金メダルを掲げる小原1尉
表彰式で金メダルを掲げる小原1尉
日の丸を羽織って喜びを表す米満3尉
日の丸を羽織って喜びを表す米満3尉

ソチ冬季オリンピックに向けた取り組み

陸上自衛隊冬季戦技教育隊(北海道札幌市)は、自衛隊唯一の積雪寒冷地における教育専門部隊であり、その部隊教育の一環として「クロスカントリー」と「バイアスロン」に日夜取り組み、部隊の精強化につながる体育指導者の育成に力を注いでいる。このような隊員の日頃からの努力の積み重ねによって、陸上自衛隊冬季戦技教育隊は、オリンピック冬季競技大会をはじめとする世界の舞台で活躍する選手を輩出している。
オリンピック冬季競技大会の競技種別となっているクロスカントリーは、スキーの距離走競技であり、長・短の距離およびフリー(スケーティング)やクラシカルといった走法の違いによって種別が分かれている。
吉田圭伸3等陸尉は、日本クロスカントリー男子選手のトップに位置しており、今シーズンワールドカップでは自己最高順位の11位を獲得し、世界選手権大会では自己最高タイの12位を獲得するなど、来年の第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ)では、入賞が大いに期待できる選手である。
バイアスロン(Bi Athlon)とは、「2つの競技」を意味し、クロスカントリーとライフル射撃を合わせた複合競技であり、日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパでは大変人気のある競技である。
競技の特性としては、脈拍が180を超える激しい動きの「動」と、気を鎮め、集中力を必要とする射手の「静」の2つの相反する要素をいかにバランス良く整えることができるかが鍵となり、その中でライフル射撃は、射距離50m、1回の射撃で5発の弾を射撃し、射撃姿勢には「伏せ撃ち(伏射)」と「立ち撃ち(立射)」があり、伏射の命中圏は直径4.5cm、立射の命中圏は直径11.5cmで、このライフル射撃の結果によって順位が大きく変動する。
このようなバイアスロン競技において、鈴木芙由子3等陸曹は、日本女子選手のトップに位置しており、第21回オリンピック冬季競技大会(2010/バンクーバー)に続いて第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ)への出場が有望と目されている選手である。

吉田3尉(右側)(クロスカントリー男子)
吉田3尉(右側)(クロスカントリー男子)
鈴木3曹(バイアスロン女子)
鈴木3曹(バイアスロン女子)
 
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