<解説>宇宙状況監視機能について
防衛省では、平成27年度に、高い能力を付与した次期Xバンド通信衛星を自ら打ち上げることとしているなど、いかなる国家の領域にも属さず、地形などの条件の制約を受けない宇宙空間の利用を通じてC4ISR※機能の向上に努めている。
一方、宇宙開発利用国の増加などに伴い、宇宙空間から自衛隊の能力を推察する機能を保持する国が増加しているほか、人工衛星を損傷しうるスペースデブリ(宇宙ごみ)が増加の一途をたどっていることに加え、対衛星攻撃兵器など衛星機能を阻害する技術なども進展している。
こうしたことから、安定的に宇宙空間を利用するため、不審な衛星やスペースデブリをレーダーや光学望遠鏡などで探知・識別し、専用のシステムでこれらの軌道を解析してカタログ化することで、接近するスペースデブリと人工衛星の衝突を回避することなどを目的とした本格的な宇宙状況監視機能の保持に向けた検討を深化させることがきわめて重要である。
このような宇宙状況監視機能は、防衛省に限らず、民生目的で宇宙空間を利用する関係機関の人工衛星のスペースデブリとの衝突などの回避にも大きく寄与することから、わが国の安定的な宇宙開発利用の向上を図ることも可能となる。
このため、今後の検討に際しては、政府の一元的な宇宙状況監視システムの構築を見据え、宇宙状況監視機能の恩恵を享受する関係機関などとの緊密な連携を目指す必要がある。
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