第II部 わが国の防衛政策と日米安保体制
第3節 MV-22オスプレイの沖縄配備
1 MV-22オスプレイの沖縄配備

MV-22は、回転翼機の垂直離着陸やホバリングの機能と、固定翼機の速度および航続距離を持ち合わせた航空機である。同機は、開発途上の困難を克服して、05(同17)年、全ての信頼性および安全基準を満たすものとして米国政府より量産が承認された。これまでにも、イラクの自由作戦、アフガニスタンにおける不朽の自由作戦およびハイチにおける災害救援活動など様々な任務において世界規模で展開・運用している。MV-22は、海兵隊の航空部隊の主力として、様々な作戦において、人員・物資輸送を始めとした幅広い活動に従事し、重要な役割を果たしている。
米海兵隊においては、老朽化した回転翼機(CH-46)を、より基本性能の高いMV-22へと更新する計画が進められており、11(同23)年6月、普天間飛行場に配備されているCH-46のMV-22への更新が米国防省より公表され、12(同24)年6月29日には米国政府から普天間飛行場の1個飛行隊12機のCH-46を同数のMV-22に更新し、さらに13(同25)年夏に2個目の飛行隊のCH-46を同数のMV-22に更新する旨の接受国通報が行われた。森本防衛大臣(当時)などが、沖縄や岩国の地域住民の理解と協力を得られるよう安全確保のための措置を講ずるとの説明を行った。その後、岩国飛行場における陸揚げおよび機能確認飛行を経て、12(同24)年10月に1個飛行隊の普天間飛行場への移動が完了した。また、13(同25)年4月30日には、在日米軍司令部および在日米国大使館から2個目の飛行隊12機が岩国飛行場に陸揚げされた後に、普天間飛行場に移動することになるとの説明を受けた。
米国のアジア太平洋地域重視の戦略の中で、在日米軍、なかでも沖縄の海兵隊の存在は大きな意義を有しており、MV-22は、その海兵隊の能力の中核を担う装備である。MV-22はCH-46に比べて、速度は2倍、搭載能力は3倍、行動半径は4倍という優れた性能を有しており、同機の沖縄配備により、在日米軍全体の抑止力が強化され、この地域の平和と安定に大きく寄与する。

MV-22オスプレイ
MV-22オスプレイ
 
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