コラム

<解説>スマート防衛について

北大西洋条約機構(NATO)では現在、加盟国の国防費の著しい削減や加盟国間、特に米国と欧州諸国間の軍事能力の格差が深刻化している。現在、NATO加盟国全体の国防費総計の7割以上を米国が占めており、11(平成23)年に欧州主導により行われたリビアにおける軍事作戦では、欧州諸国の作戦遂行能力、特に情報収集・警戒監視・偵察(ISR※)能力の欠如が明らかとなり、これらの能力を米国に依存することとなった。
このような現状を受け、NATOにおいては、ラスムセン事務総長のもと「多国間協調を通じたより少ない資源でより確実な安全保障の実現」を目的とする「スマート防衛」構想が推進されている。NATOは12(同24)年5月の首脳会合において、20以上の多国間プロジェクトを承認した。厳しい財政状況の中、安全保障上の能力をより効果的、効率的に保持するためのNATOのこのような取組については、引き続き注目していく必要がある。

※Intelligence Surveillance Reconnaissance

 
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