第III部 わが国の防衛に関する諸施策
5 日米共同訓練

自衛隊と米軍との共同訓練は、仮想の状況を設定し、その中で指揮官の判断能力や幕僚の調整能力の向上などを目的とする指揮所演習と、演習場や訓練海空域などで実際に部隊を活動させることにより、日米間の連携要領全般の向上などを目的とする実動訓練に分けられる。これらの共同訓練は、平素から戦術面などの相互理解と意思疎通を深め、相互運用性(インターオペラビリティ)を向上させ、共同対処行動を円滑に行うために欠かせない。また、武力攻撃事態対処法や周辺事態安全確保法などにより自衛隊に与えられた任務を行う上で、日米の連携・調整要領を平素から訓練しておくことは重要であり、日米それぞれの戦術技量1の向上を図る上でも有益である。このような努力は、ひいては日米安保体制の信頼性と抑止効果の維持、向上にもつながる。
このため、自衛隊は、米軍との間で、これまでも各種の共同訓練を行っている。たとえば、昭和60年度に開始した日米共同統合演習は、おおむね毎年交互に指揮所演習または実動演習を行ってきており、12(平成24)年1月の指揮所演習は、19回目であった。その他、日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練など、陸・海・空自が、国内のみならず、米国に部隊を派遣するなどして、共同訓練は拡大してきており、軍種・部隊レベルにおいても相互運用性(インターオペラビリティ)向上の努力を続けている。
(図表III―2―1―9参照)

図表III―2―1―9 日米共同訓練の拡大

これらの日米共同訓練は、共同対処能力の維持・向上に大きく資するものであり、内容の充実に努めているところである。なお、11(同23)年の東日本大震災への対応において、日米で連携して円滑に対応できたのは、これまで日米共同訓練を積み重ねてきた成果でもある。
参照 資料35

津波や船舶の遭難による負傷者を想定した日米共同による救難訓 練に臨む空自隊員。昭和54年以降、通算26回目の訓練となった。 (沖縄県浮原島11(平成23)年12月)
津波や船舶の遭難による負傷者を想定した日米共同による救難訓
練に臨む空自隊員。昭和54年以降、通算26回目の訓練となった。
(沖縄県浮原島11(平成23)年12月)

1)個々の装備を使いこなすとともに、一定の規模の部隊を動かすための能力など
 
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