東日本大震災は、大規模震災に加え、原子力災害が起きた複合した事態であった。本震災に対する防衛省・自衛隊の対応について、次の3項目に分けて総括する。
東日本大震災は、地震の規模の大きさから、被災地が東北地方から関東地方にまたがる広域におよび、津波により沿岸地域の多数の地方自治体の機能が低下した。このような状況から、防衛省・自衛隊は、10万人を超える過去最大規模でかつ災害対応では初めてとなる統合任務部隊を編成し、陸・海・空自部隊のみならず、予備自衛官なども一丸となって対応した。
また、救援物資の輸送のみならず、一部の被災地においては、ご遺体の搬送支援なども行った。
原子力災害に対しては、予期できぬ状況の中、放水などの実施要領の決定と作業の実施について、防衛省・自衛隊が中心となり、他省庁などを含めた一元的な対応を行った。
隊員は、被ばくの可能性がある中、危険を顧みず活動し、福島第一原発事故による危機的状況回避に貢献した。そのほか、放射性物質の除染、空気中の放射線量などのモニタリング作業、周辺住民の避難支援活動にも貢献した。
米軍は、空母ロナルド・レーガンをはじめ、約1万6,000人で「トモダチ作戦」を展開し、被災地の救援活動に尽力するとともに、原子力災害1に対しても各種協力・支援を行った。この際、日米間の調整のため、市ヶ谷の防衛省、横田の在日米軍司令部および仙台の災統合任務部隊司令部(陸自東北方面総監部)に日米調整所を設置し、防衛省・自衛隊と米軍との間で緊密な連携を行い、非常事態においても日米同盟の強い絆を再確認することができた。
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