第II部 わが国の防衛政策の基本と動的防衛力
第5節 次期戦闘機の整備

次期戦闘機の選定にあたっては、防衛省において、あらかじめ定められた評価基準に則り、公正かつ厳正に評価した。最終的に「性能」、「経費」、「国内企業参画」および「後方支援」の4要素について総合的な評価を行い、11(平成23)年12月19日、防衛省としてF―35Aを次期戦闘機に決定し、42機を取得することとした。同月20日には、安全保障会議が開催され、「航空自衛隊の現用戦闘機の減耗を補充し、その近代化を図るための次期戦闘機については、平成24年度以降、F―35A 42機を取得するものとする。なお、一部の完成機輸入を除き、国内企業が製造に参画することとし、また、各年度の具体的整備に際しては、その時々における経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、これを行うものとする。」と決定された。また、同内容は、同日の閣議において了解され、この方針のもとに、平成24年度においては、F―35A 4機の整備が進められることになった。12(同24)年6月29日には、この4機を米国政府の有償援助(FMS:Foreign Military Sales)により調達するための引合受諾書1(LOA:Letter of Offer and Acceptance)に署名した。
本節では、防衛省における検討過程について説明する。

次期戦闘機(F―35A)
次期戦闘機(F―35A)
F―4戦闘機
F―4戦闘機
1 次期戦闘機の導入の必要性

22大綱において、空自の戦闘機部隊については、12個飛行隊および戦闘機約260機の体制を維持することとしており、現在は、F―4飛行隊が2個、F―15飛行隊が7個、F―2飛行隊が3個の計12個飛行隊、定数約260機の戦闘機によって構成されている。
このうち、F―4戦闘機の減勢が既に始まっていることなどを考慮すると、可能な限り速やかに次期戦闘機の取得に着手する必要がある。さらに、わが国周辺地域における軍事力の近代化の進展にともない、戦闘機とその支援機能が一体となって機能する総合的防空能力の向上がますます重要となる中、空自がわが国の防空などの任務を将来にわたって着実に遂行していくためには、12個飛行隊および戦闘機約260機の体制を維持するだけでなく、空自の他の装備品と連動して相乗効果を発揮できるような能力の高い次期戦闘機を導入することにより、その総合的防空能力の向上に努めていくことが不可欠である。
このような状況を踏まえ、23中期防において、「現有の戦闘機(F―4)の後継機として、新たな戦闘機を整備する」こととされた。


1)「引合受諾書」とは、取引ごとに日米両政府の代表者(日本側では装備施設本部長等の支出負担行為担当官)が署名する文書で、これに基づき 有償援助が行われる。この文書には、両政府が合意する調達品などの内容および価格、納入予定時期といった条件が記載される。
 
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