オーストラリアは、近隣地域の安全、安定および結束を自国の戦略的利益と位置づけている。近隣地域の不安定な国家は、犯罪やテロの温床となる可能性があるほか、国内紛争が起これば自国を含む地域社会に大きな損害をもたらすことから、オーストラリアは、軍の派遣を含めた積極的な支援を通して地域の安定に貢献するとしている。
また、中東地域などの遠隔地においても、広範な戦略的利益にかない、また、最小限のリスクで任務を成功させる環境が整っていると判断した場合には、軍を派遣するとしている。
このような方針に基づき、オーストラリアは、以下の地域を中心に、約5万7,000人の現有兵力1のうち約3,300人を海外に派遣している2。
オーストラリアは、東ティモールにおいて独立の機運が高まった99(平成11)年以来、東ティモールの政治的、社会的安定のために積極的な支援を行っている。豪軍は、国際治安部隊(ISF:International Stabilisation Force)を主導しており、約400名が約80名のニュージーランド軍とともに活動している3。
オーストラリアは、90年代後半にソロモン諸島で民族紛争が激化して以来、ソロモン諸島の安定と発展のために積極的な支援を行っている。03(同15)年7月からはソロモン諸島に対する地域支援活動(RAMSI:Regional Assistance Mission to Solomon Islands)4が主体となって支援を行っているが、その軍事部門にはニュージーランド、パプアニューギニア、トンガの各軍とともに約80名の豪軍が参加し、現地で活動する多国籍警察部隊の安全確保に従事している。
オーストラリアは、01(同13)年の9.11テロに際し、米豪同盟のもとで、いち早く米国への支持を表明し、同年10月にはアフガニスタンへ部隊を派遣した。オーストラリアは、アフガニスタンが平和で安定した国になるよう支援することを通じてテロの拡散を防ぎ、同国が再びテロの温床となることを防ぐことを目的として、国際治安支援部隊(ISAF:International Security Assistance Force)のもとで活動している。現在、アフガニスタン国内で約1,550名がウルズガン州での復興支援活動やアフガニスタン治安部隊の訓練などに従事している5。また、アフガニスタン周辺においても、約800名がアフガニスタンでの任務を支援するために活動している6。
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