コラム 

<VOICE>海上自衛隊と韓国海軍との交流

海上幕僚監部防衛部防衛課防衛調整官 1等海佐 下 淳市(しも じゅんいち)
(第3代在韓国日本大使館防衛駐在官(海))

私はこれまで日韓防衛交流に直接かかわる機会が多く、色々な立場からその進展を見てきました。96(平成8)年からの3年間は防衛駐在官として勤務し、高官の相互訪問、幕僚の意見交換、艦艇相互訪問などの諸調整を通じて関係強化の一翼を担ってきました。
10(同22)年8月、韓国海軍の「世宗大王(セジョンデワン)」にて発生した急患を韓国側の要請により海自が輸送しましたが、10月に首席幕僚として参加した遠洋練習航海での釜山寄港時、その韓国海軍唯一のイージス艦である「世宗大王」が練習艦隊のホストシップとして指定されました。こうした関係においても、韓国海軍との結びつきの強さを実感できました。
現職でも幕僚協議、共同訓練などの諸調整において日韓防衛交流に携わっています。近年、ハイレベルの信頼関係の強化も進んでおり、10(同22)年4月韓国海軍哨戒艦乗員の海軍葬へ海上幕僚長が参加し、今年の東日本大震災発災の僅か2日後には韓国海軍参謀総長から海上幕僚長に対して御見舞いと支援申し出の電話を頂きました。こうした日々の勤務を通じても、日韓防衛交流の深化を感じています。
海上自衛隊と韓国海軍間の防衛交流の進展は、日韓の防衛協力関係の強化にも資するものであり、こうした交流を通じて地域の安全保障環境の一層の安定化に取り組むことが重要であると考えます。
 
練習艦「かしま」での昼食会の様子(釜山入港時:筆者右手一番奥)
練習艦「かしま」での昼食会の様子(釜山入港時:筆者右手一番奥)

 

前の項目に戻る     次の項目に進む