コラム 

<解説>機動戦闘車の開発について


陸上戦闘において重要な要素は、火力(攻撃力)、機動力、防護力といわれる。野球にたとえると、打って走って守れるバランスの良い選手は非常に重宝されるが、陸上装備でいうと「戦車」はまさにバランスの良い4番打者のような存在である。
一方、近年の安全保障環境を踏まえ、ゲリラや特殊部隊への対応や島嶼部の防衛のために、高度のバランスを備えた4番打者のほか、一定の攻撃力をもって事態に即応し、軽快・機敏な戦闘が遂行できる1番打者のような機能が必要とされるようになっている。これが「機動戦闘車」のコンセプトである。高い路上機動性と空輸性により、一般道路や航空機を有効に活用して展開できる機動戦闘車により、事態発生時の初動に機敏に対応するとともに、戦車と併せて運用することにより、事態に実効的に対処できる。また、その高い展開能力を活かし、今後予想される広域・複合化する事態にも迅速に対応できるため、陸上作戦のバリエーションも大きく広がることになる。
機動戦闘車は平成28年度の導入を目指して研究開発が進められているが、この装備は、まさに新防衛大綱の柱である「動的防衛力」を構築する上で重要な役割を果たす装備の一つとなり得よう。
 
機動戦闘車(イメージ図)
機動戦闘車(イメージ図)

 

前の項目に戻る     次の項目に進む