第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

第3節 防衛省・自衛隊と地域社会・国民とのかかわり
本章の冒頭に述べたとおり、防衛省・自衛隊のさまざまな活動は、防衛省・自衛隊のみですべてを行えるものではない。国民一人ひとり、そして、地方公共団体などの理解と協力があってはじめて可能となる。
自衛隊は、本章第1節で説明した内容のほかにも、さまざまな形で地域社会や国民の支援と協力を得て任務を遂行している。また、自衛隊からも、民生支援としてさまざまな協力活動を行っている。こうした活動は、地域社会・国民と自衛隊相互の信頼をより一層深め、防衛基盤の充実・強化に寄与しているだけではなく、隊員に誇りと自信を与えている。
また、防衛施設1の機能を十分に発揮させるためには、周辺地域との調和を図り、周辺住民の理解と協力を得て、常に安定して使用できる状態を維持することが必要である。このため、防衛施設の設置・運用が周辺住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう努めている。
こうした観点から、本節では、防衛省・自衛隊と地域社会・国民とのかかわりや国民の理解と協力を得るべく防衛省・自衛隊が行っている活動・施策について説明する。

1 市民生活の中での活動や社会に貢献する活動
自衛隊は、防衛大綱に示されたさまざまな役割のほかに、地方公共団体や関係機関などからの依頼に基づき、国民とかかわるさまざまな分野で、民生支援活動を行っている。たとえば陸自は、今日なお、全国各地で発見されている不発弾の処理にあたっている。平成22年度の処理実績は、件数1,589件、重量にして約50トンである。特に、沖縄県での処理量が全体の約54%を占めている。さらに、海自も今日まで機雷および爆発性危険物の除去や処理を継続的に実施している。平成22年度の処分実績は4,872個、重量にして約44トンであった。
 
那覇市での艦砲弾処理作業
那覇市での艦砲弾処理作業
 
硫黄島での機雷処分作業
硫黄島での機雷処分作業

駐屯地や基地を受け入れている自治体からは、自衛隊の存在が当該地域の雇用・経済を支えているとの声も寄せられている。また、全国の駐屯地や基地の多くでは、地方公共団体からの要請や、近隣住民からの声に応えて、部隊活動に支障のない範囲でグラウンドや体育館、プールなどの施設を開放し、地域活動の活性化にも貢献している。さらに、音楽隊が各地の学校を訪問し、吹奏楽部員などに対する演奏指導を行うほか、多くの隊員が市民や地方公共団体などが主催するさまざまな行事に参加したり、個人的にスポーツ競技の審判や指導員を引き受けるなど、地域住民との交流に努めている。
これらの活動は、国民と自衛隊相互の信頼をより一層深めるものでもあり、防衛基盤の充実・強化に寄与している。また、これらの活動は、隊員に日頃から国民生活に役立っているという誇りと自信を与えている。
参照 資料82、83
 
よこすかカレーフェスティバルでの音楽隊演奏
よこすかカレーフェスティバルでの音楽隊演奏
 
さっぽろ雪まつりにおける雪像作成支援
さっぽろ雪まつりにおける雪像作成支援
 
車両誘導による地元マラソン大会の支援
車両誘導による地元マラソン大会の支援


 
1)自衛隊が使用する施設と日米安保条約に基づき在日米軍が使用する施設・区域の総称であり、演習場、飛行場、港湾、通信施設、営舎、倉庫、弾薬庫、燃料庫などを指す。


 

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