第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

5 イラク国家再建に向けた取組への協力

1 イラク国家再建に向けたわが国の取組の経緯
国際社会は、03(平成15)年5月以降、国連安保理決議第1483号およびそれに引き続く国連安保理決議を踏まえ、イラクの復興支援に積極的に取り組んできた。
わが国は、同年7月に成立した旧イラク特措法に基づき、同年12月から08(同20)年12月までの間、自衛隊の部隊を順次、現地に派遣し、政府開発援助(ODA)による支援と連携しながら、人道復興支援活動を行うとともに、これに支障を及ぼさない範囲で、諸外国が行うイラク国内の安全と安定を回復する活動の支援(安全確保支援活動)を行った。

2 旧イラク特措法に基づく自衛隊の活動
自衛隊は、03(同15)年12月から、旧イラク特措法に基づき、困難な状況におかれた住民のため、医療、給水、学校・道路など公共施設の復旧・整備および人道復興物資などの輸送などの支援を行い、イラクの自主的な国家再建に向けた取組に寄与してきた。06(同18)年6月、政府は、ムサンナー県において、イラク人自身による自立的な復興の段階に移行したものと判断し、陸自の任務を終了させることを決定し、同年9月、約2年半におよぶ陸自の部隊による活動を終えた。
参照 資料63

また、空自の部隊は、イラクの復興および安定に協力するため、ムサンナー県に派遣された陸自の部隊、国連、多国籍軍などに対する空輸支援を行ってきたが、政府は、08(同20)年11月に、空輸支援がその目的を達成したと判断し、空自の任務を終了させることを決定し、同年12月、約5年に及ぶ空輸任務は終了した。
こうしたイラクの国家再建に向けたわが国の協力は、国際社会とイラク国民から高い評価を受け、わが国に対する信頼を向上させただけでなく、米国とともに活動したことを通じて、日米の安全保障面での協力をさらに緊密かつ実効性あるものとする上でも有意義であった。

 

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