4 在日米軍施設・区域がもたらす影響の緩和に関する施策
1 在日米軍施設・区域をめぐる環境保全への取組
00(平成12)年9月の「2+2」会合において、両国政府は、環境保護が重要であるとの認識のもと、在日米軍施設・区域の周辺住民、米軍関係者やその家族などの健康と安全の確保を共通の目的とすることに合意し、「環境原則に関する共同発表」
1を行った。この発表のフォローアップのため、日米協議が強化され、具体的には、日本環境管理基準
2(JEGS:Japan Environmental Governing Standards)の定期的見直しの際の協力の強化、環境に関する情報交換、環境汚染への対応などにかかわる協議について、関係省庁が連携して取り組んでいる。なお、在日米軍は、11(同23)年1月、ホームページでJEGS(英文)を公表していたところ、防衛省としては、沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会および渉外関係主要都道県知事連絡協議会からの要請を踏まえ、2010年版日本環境管理基準の日本語訳(仮訳)を作成し、11(同23)年6月、公表を行った
3。
また、10(同22)年5月の「2+2」会合では、環境保全に対する共有された責任の観点から、日米両国が在日米軍施設・区域などに関し、「緑の同盟」のアプローチをとる可能性について議論するよう事務当局に指示がなされ、日本国内において整備中の米国の基地に再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、在日米軍駐留経費負担(HNS)の一構成要素とすることを含め、検討された。その結果は、1節4において述べたように在日米軍駐留経費負担の包括的見直しに反映されている。また、同会合においては環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む環境に関する合意を速やかに、かつ真剣に検討することも事務当局に指示され、これを受け、作業部会が設置され、日米双方の事務当局がその実現に向け協議を重ねている。
2 その他の措置
先に述べたもののほか、わが国は、在日米軍施設・区域の周辺地域の生活環境などの整備のための措置(III部4章3節参照)を行っている。また、市町村に対し、固定資産税の代替的性格を有する基地交付金
4などを交付している。
さらに、在日米軍施設・区域の周辺地域においては、米軍人などによる事件・事故が地域や住民に影響を与えている。政府としては、米軍に対し、軍人などの教育や綱紀粛正といった再発防止策について実効性のある措置を講ずるよう求めている。また、こうした再発防止策に協力するとともに、事件・事故による被害に対し、迅速で適切な補償が行われるよう措置している。
2)日本環境管理基準は、在日米軍の活動と施設が人の健康と自然環境を保護できるよう保証する目的で在日米軍が作成した環境管理基準。環境汚染物質の取扱いと保管方法などを定めている。