3 環境に関する取組
1 気候変動が安全保障環境に与える影響
地球温暖化による気候変動への関心が高まりを見せていることを背景に、近年、気候変動が安全保障に与える影響について考察する動きが広まっている。たとえば、10(平成22)年2月1日に米国防省が発表した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)においても、気候変動を将来の安全保障環境の形成の上で重要な影響を与える要素の一つとして位置づけている。
このように、気候変動が安全保障環境にもさまざまな影響を与え得るとの認識が共有されつつある中、わが国においても、10(同22)年12月17日に閣議決定された新防衛大綱において、長期的には気候変動が安全保障環境にもたらす影響にも留意する必要があるとの認識が示されたところであり、注目していくことが必要である。
2 環境保全への取組など
防衛省は、政府の一員として、政府の各種計画に基づき実施計画などを作成し、環境へのさまざまな取組を積極的に推進している
1。
01(同13)年から、「防衛省環境月間、環境週間」を定め、全国の駐屯地なども含めて、地球温暖化防止など環境保全のための各種行事を行い、隊員などの環境保全意識の高揚を図っている。
また、自衛隊は、その施設や装備を維持管理するにあたり、環境保全の徹底や環境負荷の低減のための各種取組
2を推進している。具体的には、10(同22)年3月に高知県香南(こうなん)市に開設した高知駐屯地の施設は、従来ガスやボイラーを使用していた厨房(ちゅうぼう)、空調、給湯システムなどをすべて電気でまかなうオール電化方式を採用している。さらに、自衛隊の庁舎などへの省エネ機器の設置や老朽化した車両の排ガス規制に対応し燃費に優れたエコカーへの買換えなどを進めている。こうした取組は、経済性に優れる上に、二酸化炭素の排出が低減されるなど環境保全にも大きな効果が期待できる。
さらに、在日米軍施設・区域をめぐっても、環境保全に関する取組を行っており、10(同22)年12月の在日米軍駐留経費負担の包括的な見直しの結果においては、同年5月の「2+2」共同発表にある「緑の同盟」に関する日米間協力の一環として、よりエネルギー効率が高く環境に優しい設計を導入するなど、環境に配慮した施設の整備に努めることとされている。
参照
III部2章1節4