第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

第2節 朝鮮半島

朝鮮半島では、半世紀以上にわたり同一民族の南北分断状態が続いている。現在も、非武装地帯(DMZ:Demilitarized Zone)を挟んで、160万人程度の地上軍が厳しく対たいじ峙している。
このような状況にある朝鮮半島の平和と安定は、わが国のみならず、東アジア全域の平和と安定にとって極めて重要な課題である。
(図表I-2-2-1参照)
 
図表I-2-2-1 朝鮮半島における軍事力の対峙

1 北朝鮮

1 全般

北朝鮮は、思想、政治、軍事、経済などすべての分野での社会主義的強国の建設を目指すとする「強盛大国」建設を基本政策として標榜(ひょうぼう)し1、その実現に向けて「先軍政治」という政治方式をとっている。これは、「軍事先行の原則に立って革命と建設に提起されるすべての問題を解決し、軍隊を革命の柱として前面に出し、社会主義偉業全般を推進する領導方式」と説明されている2。実際に、金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働党総書記が、国防委員会委員長として軍を完全に掌握する立場にあり3、また、軍組織を引き続き頻繁に視察していることなどから、軍事を重視し、かつ、軍事に依存する状況は、今後も継続すると考えられる。
北朝鮮は、現在も、深刻な経済困難に直面し、食糧などを国際社会の支援に依存しているにもかかわらず、軍事面に資源を重点的に配分し、戦力・即応態勢の維持・強化に努めていると考えられる。たとえば、人口に占める軍人の割合は非常に高く、総人口の5%近くが現役の軍人とみられている4。また、そうした軍事力の多くをDMZ付近に展開させていることなどが特徴となっている。なお、11(平成23)年4月の最高人民会議における北朝鮮の公式発表によれば、北朝鮮の同年度予算に占める国防費の割合は、15.8%となっているが、これは、実際の国防費の一部にすぎないとみられている。
 さらに、北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発などに努めるとともに、大規模な特殊部隊を保持するなど、いわゆる非対称的な軍事能力を維持・強化していると考えられる。また、北朝鮮は、朝鮮半島において軍事的な挑発行動を繰り返している。
北朝鮮のこうした軍事的な動きは、朝鮮半島の緊張を高めており、わが国を含む東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因となっている。
北朝鮮の核兵器保有が認められないことは当然であるが、同時に、核問題以外の安全保障上の懸念も忘れてはならず、北朝鮮の弾道ミサイル開発・配備・拡散などの動きや朝鮮半島における軍事的対峙にも、引き続き注目する必要がある。
北朝鮮の政策や行動については、北朝鮮が、依然として閉鎖的な体制をとっているため、その動向の詳細や意図を明確に把握することは困難であるが、引き続き細心の注意を払っていく必要がある。

大量破壊兵器・弾道ミサイル
北朝鮮の大量破壊兵器については、核兵器計画をめぐる問題のほか、化学兵器や生物兵器の能力も指摘されている。北朝鮮の核問題は、わが国の安全保障に影響を及ぼす問題であるのみならず、大量破壊兵器の不拡散の観点から国際社会全体にとっても重要な問題5である。特に、北朝鮮による核実験は、北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となりうる弾道ミサイル能力を増強していることとあわせ考えれば、わが国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安定を著しく害するものとして断じて容認できない。
弾道ミサイルについては、既存の弾道ミサイルの配備、長射程化や固体燃料化6などのための研究開発が進められていると考えられるほか、北朝鮮による拡散についての指摘が引き続きみられる。北朝鮮のミサイル問題も、特に、核問題とあいまって、アジア太平洋地域だけでなく、国際社会全体に不安定をもたらす要因となっており、その動向が強く懸念される。

(1)核兵器
ア 北朝鮮の核問題に対する対応
 北朝鮮による核開発問題については、この問題の平和的解決と朝鮮半島の検証可能な非核化を目標として、03(同15)年8月以降、六者会合7が開催されている。05(同17)年の第4回六者会合では、北朝鮮による「すべての核兵器および既存の核計画」の放棄を柱とする共同声明を初めて採択するに至った。しかし、その後、北朝鮮は、六者会合への参加を引き延ばすとともに、06(同18)年、7発の弾道ミサイルの発射や核実験実施の発表を行った。このような北朝鮮による緊張を一層高める行動に対し、国連安保理は、決議第1695号および第1718号を採択するなどして、北朝鮮に対する制裁措置を実施した。北朝鮮は、同年12月、ようやく第5回六者会合に復帰し、07(同19)年2月には、第4回六者会合の共同声明を実施していくための「共同声明の実施のための初期段階の措置」に合意した。この合意に基づき、寧辺の核施設の活動停止などが実行されたことを受け、同年10月には、第6回六者会合の成果文書として「共同声明の実施のための第二段階の措置」が発表され、北朝鮮が同年末までに、寧辺の核施設の無能力化を完了し、「すべての核計画の完全かつ正確な申告」を行うことなどが合意された。しかしながら、その合意内容の履行は完了していない8
北朝鮮は、09(同21)年4月の北朝鮮によるミサイル発射を非難する国連安保理議長声明に対して、六者会合への不参加を示唆するとともに、使用済み燃料棒の再処理開始を表明したほか、国連安保理が謝罪しない場合には、核実験や大陸間弾道ミサイル発射実験を含む措置を講ずる旨表明し、同年5月には、2度目の核実験の実施を発表した。これに対し、国際社会は、北朝鮮による核実験実施を強く非難し、北朝鮮に対する追加的な措置を決定する国連安保理決議第1874号を同年6月に採択したが、北朝鮮は、新たに抽出されるプルトニウムの全量を兵器化すること、ウラン濃縮作業に着手することなどを表明した9。その後、09(同21)年9月に、ウラン濃縮実験が成功裏に行われ、完了段階に入ったとするとともに、同年11月には使用済み燃料棒の再処理を8月末までに成功裏に終え、抽出されたプルトニウムを兵器化する上で注目すべき諸成果が収められたと発表した。さらに北朝鮮は、10(同22)年11月、訪朝した米国人専門家に対してウラン濃縮施設を公開し、また、軽水炉の燃料のために数千基規模の遠心分離機を備えたウラン濃縮工場が稼動していると発表した10
以上のような北朝鮮の核問題に対する対応は、意図的に緊張を高めることによって何らかの見返りを得ようとするいわゆる瀬戸際政策であるとの見方がある一方で、北朝鮮の最終的な目的は核兵器の保有による抑止力の確保であるとの見方もある。北朝鮮の究極的な目標は体制の維持であると言われており、こうした観点を踏まえれば、これらの見方はいずれも相互に排他的なものではないとも考えられる。
 北朝鮮の核問題の解決にあたっては、日米韓が緊密な連携を図ることが重要であることは言うまでもないが、六者会合の他の参加国である中国、ロシアなどの諸国や国連、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)といった国際機関の果たす役割も重要である。

イ 核兵器計画の現状
北朝鮮の核兵器計画の現状については、北朝鮮がきわめて閉鎖的な体制をとっていることもあり、その詳細についてはなお不明な点が多いが、過去の核開発の状況が解明されていないことに加え、過去2回(06(同18)年10月および09(同21)年5月)の核実験実施の発表を含む一連の北朝鮮の言動を考えれば、核兵器計画が相当に進んでいる可能性も排除できない。さらに、10(同22)年11月に北朝鮮がウラン濃縮施設を公開し、また数千基規模の遠心分離機を備えたウラン濃縮工場の稼動に言及したことは、北朝鮮が高濃縮ウランによる核兵器開発を推進している可能性があることを示すものであると考えられる11
北朝鮮による核実験は、北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となりうる弾道ミサイル能力を増強していることと併せ考えれば、わが国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安全を著しく害するものとして断じて容認できないものである。
なお、一般に、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための小型化には相当の技術力が必要とされている。しかしながら、米国、ソ連、英国、フランス、中国が60年代までにこうした技術力を獲得したとみられることを踏まえれば、北朝鮮が、比較的短期間のうちに、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至る可能性も排除できず12、関連動向に注目していく必要がある。

(2)生物・化学兵器
北朝鮮の生物兵器や化学兵器の開発・保有状況については、北朝鮮がきわめて閉鎖的な体制をとっていることに加え、生物・化学兵器の製造に必要な物資・機材・技術の多くが軍民両用であるため偽装も容易であることから、詳細については不明である。しかし、生物兵器については、87(昭和62)年に生物兵器禁止条約を批准したものの、一定の生産基盤を有しているとみられている。また、化学兵器については、化学兵器禁止条約には加入しておらず、化学剤を生産できる複数の施設を維持し、すでに相当量の化学剤などを保有しているとみられている13

(3)弾道ミサイル
北朝鮮の弾道ミサイルについては、北朝鮮がきわめて閉鎖的な体制をとっていることもあり、その詳細についてはなお不明な点が多いが、北朝鮮は、軍事能力強化の観点に加え、政治外交的観点や外貨獲得の観点14などからも、弾道ミサイル開発に高い優先度を与えていると考えられる。

ア スカッド
北朝鮮は、80年代半ば以降、スカッドBやその射程を延長したスカッドC15を生産・配備するとともに、これらの弾道ミサイルを中東諸国などへ輸出してきたとみられている。

イ ノドン
北朝鮮はまた、90年代までに、ノドンなど、より長射程の弾道ミサイル開発に着手したと考えられる。配備が進んでいると考えられるノドンは、単段式の液体燃料推進方式の弾道ミサイルであると考えられる。射程は約1,300kmに達するとみられており、わが国のほぼ全域がその射程内に入る可能性がある。
93(平成5)年に行われた日本海に向けての発射においては、ノドンが使われた可能性が高いほか、06(同18)年7月に北朝鮮南東部のキテリョン地区から発射された計6発の弾道ミサイルは、スカッドおよびノドンであったと考えられる16。また、09(同21)年7月、同地区から計7発の弾道ミサイルが発射されたと考えられるが、それらについては、それぞれスカッドまたはノドンであった可能性がある17
ノドンの性能の詳細は確認されていないが、命中精度については、この弾道ミサイルがスカッドの技術を基にしているとみられていることから、たとえば、特定の施設をピンポイントに攻撃できるような精度の高さではないと考えられる。

ウ テポドン1
北朝鮮は、射程1,500km以上と考えられるテポドン1の開発を進めてきた。テポドン1は、ノドンを1段目、スカッドを2段目に利用した2段式の液体燃料推進方式の弾道ミサイルで、98年(同10)年に発射された弾道ミサイルの基礎となったと考えられる。北朝鮮は、最近、さらに長射程のテポドン2の開発に力点を移していると考えられ、テポドン1はテポドン2を開発するための過渡的なものであった可能性もある。

エ ムスダン
北朝鮮は現在、新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」の開発を行っているものと考えられる。ムスダンは北朝鮮が90年代初期に入手したロシア製SLBM・SS-N-6を改良したものであると指摘されており、ノドンやスカッドと同様に発射台付き車両(TEL:Transporter-Erector-Launcher)に搭載され移動して運用されると考えられる。また射程については約2,500〜4,000kmに達するとの指摘があり、グアムがその射程に入る可能性がある18
なお、閉鎖的な体制のために北朝鮮の軍事活動の意図を確認することはきわめて困難であること、全土にわたって軍事関連の地下施設が存在するとみられていることに加え、TELに搭載され移動して運用されると考えられることなどから、ムスダンを含むTEL搭載式ミサイルの発射については、その詳細な発射位置や発射のタイミングなどに関する個別具体的な兆候を事前に把握することは困難であると考えられる。

オ テポドン2
 テポドン2は、新型ブースターを1段目、ノドンを2段目に利用した2段式ミサイルで、射程約6,000kmとみられている。テポドン2は、06(同18)年7月、北朝鮮北東部沿岸地域のテポドン地区から発射され、発射数十秒後に高度数kmの地点で、1段目を分離することなく空中で破損し、発射地点の近傍に墜落したと考えられる。また、09(同21)年4月、同地区からテポドン2または派生型19を利用したとみられる発射が行われた。この発射については、わが国の上空を飛び越えて、3,000km以上飛翔し、太平洋に落下したと推定されることから、06(同18)年のテポドン2の発射失敗時と比較すれば、北朝鮮が弾道ミサイルの長射程化を進展させたと考えられる。また、北朝鮮は、この発射を通じて、推進部の大型化、多段階推進装置の分離、姿勢制御などの所要の技術を検証し得たと考えられるため、将来、さらなる長射程化などの弾道ミサイル開発を一層進展させる可能性が高い。さらに、長射程の弾道ミサイル実験は、射程の短いほかの弾道ミサイルの射程距離の延伸、弾頭重量の増加や命中精度の向上にも資するものと考えられるため、この発射が、ノドンなど北朝鮮が保有するその他の弾道ミサイルの性能の向上につながる可能性が考えられる。
(図表I-2-2-2参照)
 
図表I-2-2-2 北朝鮮の弾道ミサイルの射程

北朝鮮は、現在も、以上のような弾道ミサイルのみならず、新たに固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイル20の開発も行っていると考えられるほか、スカッドやノドンといった既存の弾道ミサイルについても、長射程化などの改良努力が行われている可能性に注意を払っていく必要がある。
北朝鮮が発射実験をほとんど行うことなく弾道ミサイル開発が急速に進展してきた背景として、外部からの各種の資材・技術の北朝鮮への流入の可能性が考えられる。また、ノドン本体ないし関連技術のイランやパキスタンへの移転といった、北朝鮮による弾道ミサイル本体ないし関連技術の移転・拡散の指摘や、こうした移転・拡散によって得た利益でさらにミサイル開発を進めているといった指摘も見られる21
北朝鮮の弾道ミサイルについては、その開発・配備の動向のみならず、移転・拡散の観点からも懸念されており、引き続き注目していく必要がある。

3 軍事態勢
(1)全般
北朝鮮は、全軍の幹部化、全軍の近代化、全人民の武装化、全土の要塞化という四大軍事路線22に基づいて軍事力を増強してきた。
北朝鮮の軍事力は、陸軍中心の構成となっており、総兵力は約120万人である。北朝鮮軍は、現在も、依然として戦力や即応態勢を維持・強化していると考えられ、浸透23訓練も継続しているとみられているものの、その装備の多くは旧式である。
他方、情報収集や破壊工作からゲリラ戦まで各種の活動に従事する大規模な特殊部隊を保有し、その勢力は約10万人に達すると考えられる24。また、北朝鮮の全土にわたって多くの軍事関連の地下施設が存在するとみられていることも、特徴の一つである。

(2)軍事力
陸上戦力は、約100万人を擁し、兵力の約3分の2をDMZ付近に展開していると考えられる。その戦力は、歩兵が中心であるが、戦車3,500両以上を含む機甲戦力と火砲を有し、また、240mm多連装ロケットや170mm自走砲といった長射程火砲をDMZ沿いに常時配備していると考えられ、首都であるソウルを含む韓国北部の都市・拠点などがその射程に入っている。
海上戦力は、約650隻約10.7万トンの艦艇を有するが、ミサイル高速艇などの小型艦艇が主体である。また、ロメオ級潜水艦約20隻のほか、特殊部隊の潜入・搬入などに使用されると考えられる小型潜水艦約60隻とエアクッション揚陸艇約130隻を有している。
航空戦力は、約620機の作戦機を有しており、その大部分は、中国や旧ソ連製の旧式機であるが、MiG-29やSu-25といった、いわゆる第4世代機も少数保有している。また、旧式ではあるが、特殊部隊の輸送に使用されるとみられているAn-2を多数保有している。
北朝鮮軍は、即応態勢の維持・強化などの観点から、現在も各種の訓練を活発に行っている。他方、深刻な食糧事情などを背景に、軍によるいわゆる援農活動なども行われているとみられている。

4 内政
(1)体制の安定度
 近年、貧富の差の拡大や拝金主義的風潮による社会統制の弛しかん緩、軍の士気低下など、北朝鮮の体制に一定の揺らぎが見られるとの指摘もあるが、国家的行事25や他国との交渉が整斉と行われていることを踏まえると、北朝鮮では、金正日国防委員会委員長を中心とする統治が一定の軌道に乗っていると考えられる26。一方、金正日国防委員会委員長の健康問題や後継者問題が取り沙汰される中、10(同22)年9月に、44年ぶりに開催された朝鮮労働党代表者会などを通じ、同委員長の三男と見られる金キム・ジョンウン正恩が朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に選出されるなど、現在、後継体制構築の動きが見られている27。08(同20)年末以降、金正日国防委員会委員長は、現地視察などの公式活動を頻繁に行ったものとみられるが28、同委員長の69歳という年齢もあわせ考えると、近い将来にも起こりうる権力構造の変化に際して体制が不安定化する可能性も排除できない。

(2)経済事情
経済面では、北朝鮮は、社会主義計画経済の脆弱(ぜいじゃく)性に加え、冷戦の終結にともなう旧ソ連や東欧などとの経済協力関係の縮小の影響などもあり、近年は、慢性的な経済不振、エネルギー不足や食糧不足に直面している。特に、食糧事情については、引き続き海外からの食糧援助に依存せざるを得ない状況にあるとみられている29。北朝鮮の住民の間には、多数の飢餓者の発生や規範意識の低下などがみられるとの指摘もある。
こうした経済面でのさまざまな困難に対し、北朝鮮は限定的な改善策や一部の経済管理システムの変更も試みている。09(同21)年には、150日戦闘および100日戦闘と呼ばれる動員運動により生産性の向上などを図るとともに、同年末にいわゆるデノミネーション(貨幣の呼称単位切下げ)などを実施したとみられる30。また、11(同23)年1月には、新たに「国家経済開発10ヵ年戦略計画」を採択し、北朝鮮は同計画により「2012年に強盛大国の大門に入る基礎が整えられ、2020年には先進諸国の水準に堂々と発展することができる確固たる展望が開かれることとなった」としている31。他方で、北朝鮮が現在の統治体制に影響を与えるような構造的な改革を行う可能性は低いと考えられることから、経済の現状を根本的に改善することには、さまざまな困難がともなうのではないかと考えられる。

5 延坪島(ヨンビョンド)砲撃事件
10(同22)年11月23日、北朝鮮は、韓国軍が黄海に面する延坪島沖において射撃訓練を実施しているさなか、延坪島に向けて砲撃を行い、韓国側に民間人を含む死傷者が発生した32。韓国政府が、当該射撃訓練は定期的に実施している訓練であると説明する一方、北朝鮮は砲撃について、再三にわたる警告にも関わらず韓国側が北朝鮮の領海に砲撃を加えるという軍事的挑発を行ったために対応措置をとったものと主張し、砲撃を正当化した33
砲撃を受け、李明博(イ・ミョンバク)大統領とオバマ米大統領は電話会談を行い、米韓間の緊密な防衛協力を継続するために、今後合同軍事演習及び規模を拡大した訓練を実施することで合意し、同年11月28日から12月1日にかけて、黄海において合同軍事演習が行われた。また、韓国軍は砲撃を受け中断していた延坪島沖における射撃訓練を12月20日に改めて実施した。
(図表I-2-2-3参照)
 
図表I-2-2-3 北方限界線(NLL)付近における北朝鮮の軍事行動の一例

6 対外関係
(1)米国との関係
米国は、他国と緊密に協力しつつ北朝鮮の核計画廃棄に取り組む姿勢を明らかにし、六者会合を通じた問題の解決を図ろうとしている。北朝鮮も、朝鮮半島の非核化は「金日成(キム・イルソン)主席の遺訓」であるとして、05(同17)年9月の第4回六者会合における共同声明において「すべての核兵器および既存の核計画」の放棄を約束した。しかしながら、北朝鮮は、米国が北朝鮮に対する「敵視政策」を放棄していないなどとして米国のさまざまな政策を非難し続けており、米朝の立場には依然隔たりがみられ、非核化のプロセスは進んでいない。また、米国は、北朝鮮による核兵器・核関連物質の拡散の可能性や弾道ミサイルの開発・配備・拡散に関する懸念を繰り返し表明している。
なお、米国は、国別テロリスト報告書において、日本人拉致問題が未解決であること、「よど号」グループのハイジャック犯が依然として北朝鮮に居住していることを指摘しているが、08(同20)年10月、同年6月に提出された核計画の申告に対する一連の検証措置に北朝鮮が合意したなどとして、北朝鮮の「テロ支援国家」指定を解除した34

(2)韓国との関係
南北関係においては、韓国で李明博政権が発足後、09(同21)年夏以降に南北間の往来制限が解除され、同年9月末に南北離散家族再会事業が約2年ぶりに実施されるなどの動きがみられたが、その後、同年11月の黄海側NLL付近における南北艦艇の銃撃戦、10(同22)年3月の韓国哨戒艦沈没事件35、同年11月の延坪島砲撃事件など、南北間で軍事的な緊張をもたらす事案が発生している。一方、北朝鮮は、11(同23)年の新年共同社説において南北の対決状態の解消や対話・協力の推進を呼びかけ、同年2月には「南北高位級軍事会談」開催のための実務会談が開催された。しかし、会談は合意なく終了し、北朝鮮はその後、同年5月に、李明博政権をこれ以上相手にしないとする声明を発表するなど、韓国との対決姿勢を強めている。

(3)中国との関係
中国との関係では、61(昭和36)年に締結された「中朝友好協力および相互援助条約」が現在も継続している。92(平成4)年に中韓の国交が樹立されてから、冷戦期の緊密さとは異なる事象もみられたが、その後、中朝首脳が相互訪問するなど、関係の進展がみられている。現在では、中国は北朝鮮にとって最大の貿易相手国であるなど、非常に重要な国であるとみられており36、金正日国防委員会委員長が10(同22)年に異例とも言える2回の訪中を行っているほか、11(同23)年5月にも再び訪中するなど、両国が緊密な関係にあることを示している37。北朝鮮の核問題に対しては、中国は朝鮮半島の非核化を支持する旨繰り返し表明しつつ、六者会合の議長役として、この問題の解決に向けて積極的な役割を果たしてきている。

(4)ロシアとの関係
ロシアとの関係は、冷戦の終結にともない疎遠になっていたが、00(同12)年2月、従前の条約と違い軍事同盟的な条項が欠落した38「露朝友好善隣協力条約」が署名された。その後、露朝首脳が相互訪問するなど、北朝鮮とロシアとの関係改善の動きが見られた。

(5)その他の国との関係
また、北朝鮮は、99(同11)年来、相次いで西欧諸国などとの関係構築を試みており、欧州諸国などとの国交の樹立39やARF閣僚会合40への参加などを行ってきた。
他方、EUやASEANなどは、従来から北朝鮮の核問題などに懸念を表明している。


 
1)北朝鮮は、故金日成国家主席の生誕100周年にあたる12(平成24)年に、「強盛大国」の扉を開くとしている。

 
2)朝鮮労働党機関紙「労働新聞」および朝鮮労働党機関誌「勤労者」共同論説(99(平成11)年6月16日)。

 
3)国防委員会委員長は、憲法上、北朝鮮の「最高領導者」として、北朝鮮の「一切の武力を指揮、統率する」とされているほか、各国の国防省に相当する人民武力部は、内閣の下ではなく、この国防委員会の下に置かれていると考えられる。

 
4)総人口に占める現役の軍人(自衛官)の割合は、日本で約0.2%、米国で約0.5%、ロシアで約0.7%、韓国で約1.4%。

 
5)ペリーノ・米ホワイトハウス報道官(当時)は、08(平成20)年4月24日、北朝鮮がシリアの秘密裏の核活動を支援していたとする声明を出した。また、11(同23)年2月のDNI「世界脅威評価」は、「北朝鮮は、07年10月の六者会合時の合意において、核物質、技術およびノウハウを移転しないとの約束を再確認したものの、我々は北朝鮮が再度核技術を輸出する可能性について引き続き警戒している。」と指摘している。

 
6)一般的に、液体燃料推進型のミサイルは、発射直前に時間をかけて液体燃料を注入する必要がある。これに対し、固体燃料推進方式のミサイルは、推進剤が前もって装填されていることから即時発射が可能であり発射の兆候が事前に察知されにくいこと、保管や取扱いが容易であることなどの点で、液体燃料推進方式のミサイルよりも軍事的に優れているとされる。

 
7)第2回は04(平成16)年2月に、第3回は同年6月に、第4回は05(同17)年7月から8月にかけてと9月に、第5回は同年11月、06(同18)年12月および07(同19)年2月に、第6回は同年3月と9月に開催された。

 
8)08(平成20)年6月、北朝鮮は核計画の申告を提出したが、11(同23)年6月現在、検証の具体的な枠組に関する合意は得られていない。

 
9)プルトニウムとウランは核兵器の製造に必要となる代表的な核分裂性物質である。プルトニウムは、原子炉でウランに中性子を照射させることで人工的に作り出され、その後、再処理施設において使用済みの燃料に化学的処理を施すことで抽出が可能となり、核兵器の原料として使用される。一方、ウランを核兵器に使用する場合は、自然界に存在する天然ウランから核分裂を起こしやすいウラン235を抽出する作業(濃縮)が必要となり、一般的に、数千の遠心分離機を連結した大規模な濃縮施設を用いてウラン235の濃度を兵器級(90%以上)に高める作業が行われる。

 
10)米国は02年に、北朝鮮が核兵器用ウラン濃縮計画の存在を認めたと発表している。また11(平成23)年2月のDNI「世界脅威評価」は、「北朝鮮が建設した施設の規模及び建設の進捗状況を踏まえれば、北朝鮮が長年にわたってウラン濃縮を継続してきた可能性が高い。もしそうであるならば、研究開発施設や遠心分離機製造施設、他の濃縮施設を含め、北朝鮮が国内に他の関連施設を建設した蓋然性が高い。北朝鮮国内に存在する可能性のある他の製造施設に関する確度については、分析官の間で評価が分かれている。」と指摘している。

 
11)11(平成23)年2月のDNI「世界脅威評価」は、「北朝鮮が核兵器を製造したかどうか不明であるが、北朝鮮はその能力を有するものと評価している。」と指摘している。プルトニウム型については、シャープ在韓米軍司令官が、11(同23)年4月の下院軍事委員会で「いくつかの核兵器に十分な量のプルトニウムを保有していると評価している。」と証言している。また、ウラン型については、「2010韓国国防白書」において、「2009年4月の外務省報道官声明を通じ、ウラン濃縮の開発を示唆して以降、2010年11月にウラン濃縮のための遠心分離機2,000台余を稼働中であると主張したことからすると、高濃縮ウラン(HEU)プログラムを推進中であるものと推定される。」との指摘がなされている。

 
12)メイプルズDIA長官(当時)は、09(平成21)年3月の上院軍事委員会で「北朝鮮は、核弾頭を弾道ミサイルに成功裏に搭載できるかもしれない。」と証言した。また、10(同22)年2月に米国防省が公表した「弾道ミサイル防衛見直し」(BMDR:Ballistic Missile Defense Review)は、「われわれは、北朝鮮が安全保障戦略を今後10年間変更しない場合、北朝鮮が立証された運搬システムに核弾頭を搭載することが可能となるということを想定しなくてはならない。」と指摘している。

 
13)メイプルズDIA長官(当時)は、09(平成21)年3月の上院軍事委員会で「北朝鮮は、化学戦計画を長期間保持」してきており、「化学剤を大量に備蓄していると信じる。」、また、「北朝鮮は、生物戦用薬剤の生産を支援できる生物戦計画を長期間保持していると信じられている。」と証言した。韓国の「2010国防白書」は、「約2,500〜5,000トンの様々な化学兵器を保有しており、全国に分散して貯蔵しているものと推定される。また、炭疽菌、天然痘、コレラなどの生物兵器を独自に培養して生産できる能力を保有しているものと推定される。」と指摘している。

 
14)北朝鮮は自ら、「外貨稼ぎを目的」に弾道ミサイルを輸出していると認めている。(98(平成10)年6月16日「朝鮮中央通信」論評、02(同14)年12月13日北朝鮮外務省報道官談話)

 
15)スカッドBおよびスカッドCの射程は、それぞれ約300km、約500kmとみられている。

 
16)北朝鮮が99(平成11)年以降表明してきた弾道ミサイル発射凍結を完全に放棄して06(同18)年7月に発射した計7発の弾道ミサイルのうち、3発目については北朝鮮北東部沿岸地域のテポドン地区から発射されたテポドン2であったと考えられる。その他のスカッドおよびノドンの発射については、たとえば、夜明け前から発射を開始したこと、短時間のうちに異なる種類の弾道ミサイルを連続して発射したと考えられること、発射台付き車両(TEL)を運用して発射したと考えられること、射程の異なる弾道ミサイルを一定の範囲に着弾させたと考えられることなど、より実戦的な特徴を有しており、北朝鮮が弾道ミサイル運用能力を向上させてきたことがうかがえる。

 
17)発射された計7発の弾道ミサイルは、いずれも09(平成21)年6月22日に北朝鮮より連絡を受け、海上保安庁が航行警報を発出した軍事射撃訓練区域(1)北緯39度9分 東経127度37分、2)北緯41度12分 東経129度50分、3)北緯41度30分 東経131度59分、4)北緯41度15分 東経132度6分および5)北緯38度55分 東経128度2分、で囲まれる区域)内に落下したのではないかと推測される。

 
18)シャープ在韓米軍司令官は、09(平成21)年3月の上院軍事委員会で「北朝鮮は現在、沖縄やグアム、アラスカを攻撃することが可能な新型の中距離弾道ミサイルを配備しつつある。」と証言した。10(同22)年2月の米国防省「BMDR報告書」は、「移動式の中距離弾道ミサイルが(北朝鮮によって)開発中である。」と指摘している。また、韓国の「2010国防白書」は、「2007年に射程3,000km以上の中距離弾道ミサイル(IRBM:Intermediate Range Ballistic Missile)のムスダンを作戦配備したことにより、朝鮮半島を含む日本やグアム等の周辺国に対する直接的な打撃能力を保有している。」と指摘している。

 
19)たとえば、2段式のミサイルの弾頭部に推進装置を取り付けて3段式としたもの。

 
20)ベル在韓米軍司令官(当時)は、07(平成19)年3月の下院軍事委員会で「北朝鮮は、新型で固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルを開発中である。最近では、06(同18)年3月、このミサイルを成功裏に試験発射した。一旦運用可能状態になれば、このミサイルは現行のシステムに比し、より機動的かつ急速展開が可能で、一層短い準備期間での発射が可能となるだろう。」と証言した。また、10(同22)年2月の米国防省「BMDR報告書」は、「北朝鮮は、先進的な固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルを開発してきている。」と指摘している。

 
21)10(平成22)年2月のDNI「年次脅威評価」は、「北朝鮮が弾道ミサイルや関連物資をイランやパキスタンを含む複数の国家に輸出していることは、北朝鮮の拡散活動の範囲を示すものである。」と指摘している。また、輸出先であるイランやパキスタンで試験を行い、その結果を利用しているといった指摘もある。

 
22)62(昭和37)年に朝鮮労働党中央委員会第4期第5回全員会議で採択された。

 
23)小部隊ごとに分散して隠密裏に敵地に潜入すること。

 
24)北朝鮮の特殊部隊には軍関係のものと朝鮮労働党関係のものがあるとされていたが、09(平成21)年にこれらの組織が統合され、軍の下に「偵察総局」が設置されたと伝えられている。なお、シャープ在韓米軍司令官は、09(同21)年3月の上院軍事委員会で「北朝鮮は、8万人以上の人員から構成される世界最大の特殊部隊を維持し続けている。」と証言したほか、韓国の「2010 国防白書」は、「北朝鮮は既に、軽歩兵師団を前方軍団に編成し、前方師団に軽歩兵連隊を追加編成するなど、特殊戦能力を継続して強化している。これらの特殊戦兵力は現在、20万人余に達するものと評価される。」と指摘している。

 
25)09(平成21)年4月の最高人民会議において、金正日国防委員会委員長が再任されるとともに、10(同22)年9月の朝鮮労働党代表者会において、朝鮮労働党総書記に再推戴されている。また、同年10月、朝鮮労働党創建65周年を祝賀するため、金正日総書記の出席のもと、ミサイル部隊の行進を含む大規模な閲兵式が行われている。

 
26)09(平成21)年、北朝鮮は、国防委員会の委員を増員するとともに、憲法上、国防委員会委員長を北朝鮮の「最高領導者」とし、国防委員会の任務として「先軍革命路線を貫徹するための国家の重要政策の決定」を明記するなど、国防委員会委員長を中心とする国防委員会の機能の強化または明確化を図った措置をとったものとみられる。

 
27)このほか、朝鮮労働党代表者会では金正日朝鮮労働党総書記の再推戴、朝鮮労働党規約の改正(朝鮮労働党は「金日成の党」との規定、総書記と中央軍事委員長の兼務規定等が盛り込まれたとみられる)、朝鮮労働党中央指導機関の選挙などが行われ、党の体制整備が行われている。また、党代表者会開催以降、金正恩党中央軍事委員会副委員長は、朝鮮労働党創建65周年閲兵式などの公式行事出席や金正日国防委員会委員長の現地指導への同行など、さまざまな活動を行っている。

 
28)金正日国防委員会委員長の公式活動については、08(平成20)年8月中旬以降50日間(97(同9)年の朝鮮労働党総書記就任以来最長)にわたって伝えられなかったが、08(同20)年11月以降は、09(同21)年8月のクリントン米国元大統領との会談や10(同22)年の2回にわたる訪中を含め、むしろ頻繁に公式活動を行っている。

 
29)11(平成23)年3月、世界食糧計画(WFP: The United Nations World Food Programme)、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)、国連児童基金(UNICEF: United Nations Children’s Fund)は、10(同22)年11月から11(同23)年10月までの主食生産量を約425万トンと予想し、穀物の輸入必要量を約109万トンと推定している。

 
30)92年以来17年ぶりに新たな貨幣が発行され、旧貨幣と新貨幣の交換比率を100対1とする貨幣交換事業などが行われたが、物資の供給不足などのため物価が高騰するなど経済が混乱し、これに伴い社会不安が増大しているとの指摘がある。

 
31)北朝鮮は、同計画に基づき、インフラ建設と農業、電力、石炭、燃油、金属などの基礎工業、地域開発を核心とする国家経済開発の戦略的目標が確定されたとしている。

 
32)韓国国防部の発表によれば、北朝鮮は2度にわたって延坪島に向け合計約170発の砲撃を行い、そのうち約80発が陸地に着弾した。また韓国軍は2度の砲撃に対し、それぞれK-9自走砲による対応射撃を実施した。

 
33)11(平成23)年2月のDNI「世界脅威評価」は、「他の戦略的目標も考えられるものの、延坪島への砲撃の理由の1つは、エリート層の間における、後継者である金正恩の指導力と軍事的信頼性を高めるためであったと評価している。」と指摘している。

 
34)09(平成21)年4月に発表された「2008年版国別テロリスト報告書」では、直近の6か月間に北朝鮮政府が国際テロリズムに対するいかなる支援も提供しなかったという証明や、今後国際的なテロ行為を支援しないという同国政府による確約を含む米国内法の基準に基づき、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除したと説明している。10(同22)年2月、オバマ大統領は、北朝鮮の09(同21)年11月までの行動を慎重に検証した結果、テロ支援国家に再指定する条件には合致しないとする書簡を米議会上下両院の議長あてに提出した。

 
35)10(平成22)年3月26日、韓国海軍の哨戒艦「天安(チョナン)」が北方限界線(NLL:Northern Limit Line)付近の黄海において沈没し、同年5月、米国、オーストラリア、英国、スウェーデンの専門家を含む軍民の合同調査団は、同艦は北朝鮮の小型潜水艦艇から発射された魚雷による水中爆発によって発生した衝撃波とバブル効果により切断され沈没したとの調査結果を発表した。

 
36)10(平成22)年における北朝鮮の貿易総額に占める中国の割合は50%を越えているとの指摘があるほか、中国政府が公表した貿易統計によれば、中国と北朝鮮の10(同22)年の貿易総額は約34億7千万ドルで過去最高を更新したとされるなど、経済分野において北朝鮮による中国依存がさらに高まっているとの見方もある。

 
37)このほか11(平成23)年6月には、平壌において、朝鮮労働党代表団と中国共産党代表団との間で戦略対話が行われている。

 
38)締約国(ロシア、北朝鮮)の一方に対する軍事攻撃の際には、他方の締約国は、直ちにその保有するすべての手段をもって軍事的またはその他の援助を与える旨の従前の条約に存在した規定がなくなった。

 
39)たとえば、英国は00(平成12)年、ドイツは01(同13)年にそれぞれ北朝鮮と国交を樹立した。フランスのサルコジ大統領は、09(同21)年10月に北朝鮮との国交樹立のための検討に向けた状況分析を行うための大統領特使を任命し、同特使は、同年11月に訪朝した。同年12月、北朝鮮は、フランスの事務所を平壌に開設することに同意した。

 
40)08(平成20)年7月のARF閣僚会合後、北朝鮮は、東南アジアにおける友好協力条約(TAC:Treaty of Amity and Cooperation in Southeast Asia)に加入した。


 

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