第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

3 安全管理への取組と課題

(1)安全管理
 自衛隊の任務がわが国の防衛であることなどから、訓練や行動に危険がともなうことは避けられない。しかし、国民の生命や財産に被害を与えたり、隊員の生命を失うことなどにつながる各種の事故は、絶対に避けなければならない。
 安全管理は、不断の見直し、改善が不可欠であり、防衛省・自衛隊が一丸となって取り組むべき重要な課題である。防衛省・自衛隊では、今後も、平素からの艦艇・航空機の運航や射撃訓練時など日頃の訓練の際にも安全確保に最大限留意するとともに、海難防止や救難のための装備、航空保安無線施設の整備なども進めていくこととしている。

(2)護衛艦「あたご」と漁船「清徳(せいとく)丸」との衝突事故
 08(同20)年2月19日、護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、漁船の乗員2名が亡くなられた。国民の生命・財産を守るべき自衛隊がこのような事故を起こしてはならない。
 今後の再発防止のため、改めて基本に立ち返り、与えられた職務を確実に遂行していく必要があり、防衛省としては、二度とこのような事故を起こさないよう、再発防止策10を徹底していく考えである。


 
10)09(平成21)年5月、海上幕僚副長を委員長とする海上自衛隊艦船事故調査委員会が取りまとめた再発防止策は次のとおりである。
1) 見張りおよび報告・通報態勢の強化
2) 運航安全に係るチームワークの強化
3) 運航関係者の能力向上による運航態勢の強化
4) 隊司令による指導の徹底
* その他、自動操舵装置使用に関する措置要領の策定、簡易型艦橋音響等記録装置等の整備、報告・通報の適正化といった再発防止策を既に講じている。


 

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