第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

3 国連スーダン・ミッション

(1)UNMISへの派遣の経緯など
 スーダンにおいては、05(同17)年1月、スーダン政府とスーダン人民解放運動が南北包括和平合意(CPA:Comprehensive Peace Agreement)に署名し、これを受けて設立されたUNMISがCPA履行支援、停戦監視などを行っている。UNMISは、停戦監視などを行う軍事部門に加え、選挙支援や人道支援調整を行う文民部門を有し、その規模は約1万人を超える多機能かつ大規模な国連平和維持活動である。
 08(同20)年10月、政府は閣議によりUNMIS司令部へ自衛官を派遣することを決定し、UNMIS司令部要員として自衛官2名が派遣された。また、在スーダン日本国大使館に防衛駐在官として自衛官1名が派遣され、UNMIS司令部要員の活動を支援している。10(同22)年4月には第4次司令部要員2名が第3次要員と交代し、引き続き任務を継続している。
 スーダンは、アフリカ最大の国であり、9か国と国境を接していることから、スーダンの安定は、アフリカ全体の安全保障環境の改善につながる。また、スーダンには、かつてアルカイダなどが拠点を置いていたこともあり、UNMISへの自衛官派遣によりスーダンの安定に向けた国際社会の取組にわが国が主体的、積極的に関与することは、テロに対する取組やわが国の安全保障の観点から極めて有意義なものである。また、アフリカの諸問題には、G8:Group of eightのほかアジア太平洋諸国も関与を深めており、UNMISへの参加はわが国のこれらの国々との連携強化にも寄与するものである。さらに、UNMISへの参加により、自衛隊の今後の国際平和協力への取組の幅を広げることができ、人材育成や自衛隊の実践的な能力向上という観点からも有益である。
(図表III-3-1-9 参照)
 
図表III-3-1-9 スーダン周辺図

(2)派遣隊員の活動
 UNMISへの自衛官の派遣にあたっては、国連側において司令部要員は非武装で業務を行うこととされているため、後述するUNMINの場合と同様に武器を携行せず、また、個人単位で派遣されている。
 派遣隊員は、スーダンの首都ハルツームに所在するUNMIS司令部の軍事部門司令部・兵站(へいたん)3計画室においてUNMIS内の兵站全般の調整にあたる「兵站幕僚」と、国連事務総長特別代表室・情報分析室においてデータベースの管理にあたる「情報幕僚」として勤務している。
 派遣隊員の高い規律心・責任感、誠実な職務の遂行などは、現地のUNMIS関係者などから高く評価されている。
 
UNMIS司令部で調整をする派遣隊員


 
3)部隊の戦闘力を維持増進して、作戦を支援する機能であって、補給、整備、回収、輸送、衛生、建設、不動産、労務・役務などの総称。


 

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