第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

3 株式会社日本政策金融公庫の業務に関する特例などの措置

(1)グアム移転経費の分担
 在沖米海兵隊の県外への移転は、これまで沖縄県民が強く要望してきたものであり、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担の軽減につながるこの移転を早期に実現することが重要である。このため、わが国から米側に主体的・積極的に働きかけて交渉した結果、グアム移転経費の日米双方の分担について合意に至ったものである。
 グアムにおいて必要となる施設・インフラの整備を米国のみが行った場合、非常に長期間を要することが予想されるため、わが国は、海兵隊の司令部庁舎、隊舎や家族住宅、インフラ(電力、上下水道および廃棄物処理)などの整備を支援することとした。その際、わが国は、米国が主張していたような総額に占める割合ではなく、移転にかかわる施設・インフラの所要に基づき経費を分担することとした。
 また、わが国の財政支出をできる限り少なくするため、海兵隊員の家族住宅およびインフラの整備には、民間活力を導入し、出資や融資などにより措置することとした。この事業資金は、米側が支払う家賃や利用料金により将来回収されることになる。
 グアム移転経費の分担額は、検討段階の米側の見積りをもとに合意している概算額であるため、具体的な事業スキームや所要経費の積算の細部について、わが国が主体的に精査していくことが必要不可欠である。このため、予算措置については、引き続き、株式会社日本政策金融公庫7(日本公庫)も交えて十分な検討を行い、さらに所要経費を縮小するための努力を行った上で実施することとしている。
(図表III-2-4-5 参照)

参照 3節3

(2)日本公庫の特例業務の内容
 海外での長期間にわたる民活事業を適切かつ安定的に行うためには、この分野に専門的な知見・経験を有する日本公庫の活用が必要である。このため、日本公庫の業務の特例として、駐留軍再編促進金融業務を追加し、在沖米海兵隊のグアム移転を促進するために必要な事業にかかる資金の出資、貸付けなどの業務を行うことができることとし、あわせてこうした業務に対する政府による財政上の措置の特例を定めた。
(図表III-2-4-10 参照)
 
図表III-2-4-10 グアムにおける民活事業(家族住宅事業の概念図)


 
7)08(平成20)年10月1日に国際協力銀行は国民生活金融公庫などと統合され、株式会社日本政策金融公庫(日本公庫)となった。なお、国際的信用の維持などの観点から、引き続き、国際協力銀行の名称も使用している。


 

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