2 在日米軍駐留経費負担
日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で、在日米軍駐留経費負担は重要な役割を果たしている。
1970年代半ばからのわが国における物価・賃金の高騰や国際経済情勢の変動などにより、在日米軍の駐留に関して米国が負担する経費は相当圧迫を受け、窮屈(きゅうくつ)なものとなった。かかる状況を勘案し、地位協定の枠内でできる限りの努力を行うとの観点から、78(昭和53)年度に福利費(従業員の福利厚生などのための経費)などの労務費の負担を開始した。また、昭和54年度からは、急激な円高ドル安という事情などを踏まえ、提供施設整備費の負担を開始した。
さらに、日米両国を取り巻く経済情勢の変化により、労務費が急激に増加し、従業員の雇用の安定が損なわれ、ひいては在日米軍の活動にも影響が生じるおそれが生じた。このため、87(同62)年、日米両国政府は、地位協定の経費負担原則の特例的な暫定措置として、地位協定第24条についての特別な措置を定める協定(特別協定)
3を締結した。これに基づき、わが国は調整手当(現地域手当)など8項目の労務費を負担するようになり、その後の特別協定により、平成3年度からは、基本給などの労務費と光熱水料などを、さらに平成8年度からは、それらに加え訓練移転費をわが国が負担するようになった。
なお、こうした在日米軍駐留経費負担については、わが国の厳しい財政事情にも十分配慮しつつ見直しを行ってきており、平成11年度予算(歳出ベース)をピークに減少に転じている。
08(平成20)年に発効した現行の特別協定においても、労務費と訓練移転費は、前協定の枠組を維持する一方、光熱水料などは一定の削減を図るとともに、在日米軍駐留経費負担について米側が一層の節約努力を行うこととされている。また、本協定の締結に際し、両政府が、より効率的で効果的な在日米軍駐留経費負担とするために、包括的な見直しを行うことでも一致した。
(図表 III-2-3-14・15 参照)
3)日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定。