第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

1 地位協定に基づくわが国の措置など

 在日米軍施設・区域および在日米軍の地位にかかわることは日米地位協定(地位協定)により規定されており、この中には、在日米軍の使用に供するための施設・区域(在日米軍施設・区域)の提供に関すること、在日米軍が必要とする労務の需要の充足に関することなどの定めがある。

(1)在日米軍施設・区域の提供
 在日米軍施設・区域について、わが国は、地位協定の定めるところにより、日米合同委員会を通じて日米両国政府間の合意に従い、米国に負担をかけないで提供している。
 わが国は、在日米軍施設・区域の安定的な使用を確保するため、民有地や公有地については、所有者との合意のもと、賃貸借契約などを結んでいる。しかし、このような合意が得られない場合には、駐留軍用地特措法1に基づき使用権原(けんげん)2を取得するとともに、土地の所有者に対してその損失を補償するなどしている。

(2)米軍が必要とする労務の需要の充足
 在日米軍は、同軍を維持するために労働力(労務)を必要としており、この労務に対する在日米軍の需要は、地位協定により、わが国の援助を得て充足されることになっている。
 全国の在日米軍施設・区域においては、平成21年度末現在、25,812人の駐留軍等労働者(従業員)が、司令部の事務職、整備・補給施設の技術者、基地警備部隊および消防組織の要員、福利厚生施設の職員などとして勤務しており、在日米軍の円滑な運用に欠くことのできない存在として、その活動を支えている。
 こうした従業員は、地位協定の規定を受けて、わが国が雇用している。防衛省は、その人事管理、給与支払、衛生管理、福利厚生などに関する業務を行うことにより、在日米軍の駐留を支援している。


 
1)日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法。

 
2)「権原」とは、ある行為を正当化する法律上の原因をいう。


 

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