第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

4 日米共同訓練

 自衛隊と米軍との共同訓練は、仮想の状況を設定し、その中で指揮官の判断能力や幕僚の調整能力の向上などを目的とする指揮所演習と、演習場や訓練海空域などで実際に部隊を活動させることにより、日米間の連携要領全般の向上などを目的とする実動訓練に分けられる。これらの共同訓練は、日米それぞれの戦術技量1の向上を図る上で有益である。さらに、日米共同訓練を通じ、平素から戦術面などの相互理解と意思疎通を深め、相互運用性(インターオペラビリティ)を向上させておくことは、共同対処行動を円滑に行うために欠かせない。また、周辺事態安全確保法などにより自衛隊に与えられた任務を行う上でも、日米の連携・調整要領を平素から訓練しておくことは重要である。このような努力は、ひいては日米安保体制の信頼性と抑止効果の維持、向上にもつながる。
 このため、自衛隊は、米軍との間で、これまでも各種の共同訓練を行っており、今後とも内容の充実に努めていく方針である。たとえば、10(同22)年1月に行われた日米共同統合演習(指揮所演習)においては、日米の各部隊が参加し、関係省庁などの協力を得て、わが国防衛のための共同対処、周辺事態など各種事態における自衛隊の対応と日米協力について、検証・演練を行い、共同統合運用能力の維持・向上を図った。さらには、日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練などを通じ、軍種・部隊レベルにおいても相互運用性(インターオペラビリティ)向上の努力を続けている。

参照 資料54
 
演習場において調整する日米の隊員
 
並走する日米の艦艇


 
1)個々の装備を使いこなすとともに、一定の規模の部隊を動かすための能力など。


 

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